第二章 「異相の青年」


「今忙しいから帰れ」
 開口一番に、漣はそう言い放った。
「よくもそんな口が利ける」
 先頭に立つ男が不愉快そうに呟く。
 全体的に線の細い男だ。中分けの短い金髪に、スマートな身体の持ち主だ。ぱっと見は優男といった印象だが、強い意思を秘めた瞳や目つきは逆のイメージを与える。
「もう関係は絶たれたはずだろ、ティーン」
 大げさに溜め息をついて、漣も不愉快そうな視線をぶつける。
「そうも言ってられなくなった」
「へー」
 興味の無いことを前面に押し出して、漣は視線をディスプレイに戻した。
「リヴドの連中が――」
「聞きたくねぇ」
 漣の言葉にティーンが口元を引き攣らせる。
「レーン!」
「追放しておいて、協力しろってのは都合が良すぎるだろ」
 漣は、かつてレーン・シュライヴと名乗っていた。同時に、レグナと呼ばれる世界にいた。
 レグナ四戦司の一人ティーンはかつての仲間ということになる。レグナという世界の中心都市、神都の統治者を支え、守護するのが役目だ。時には統治者の使者として様々な場に赴くこともある。
 半年前、レーンはレグナを追放されてこの世界へと来たのだ。
「逆だ。上手く行けばレグナに戻れるかもしれないだろう」
「別に、戻れなくていいし」
「キサマ……」
「俺、こっち気に入ったから」
 満面の笑みを浮かべて、漣は言ってやった。
 今、漣がいる世界は居心地が良い。勿論、レグナとは違う様々な問題を抱えてはいるが、漣にとっては気が楽な世界だった。色々と期待されることも、漣が直接関わらなければならないような面倒な争いごともない。
「リヴドに、宝珠が奪われた」
「あ、そう」
 一切興味がないといったように、漣はディスプレイに視線を向けたまま返事をする。
 流石に苛立ちを隠さず、ティーンが漣を睨み付けた。
 追放した者の協力を要請するぐらいなのだから、相当な大事件だとは予想していた。だが、漣にとってはもう関係ない。
「心底見下げ果てた奴だ……!」
「なんとでも言え。俺はもうレーン・シュライヴじゃない」
 苛立つティーンの言葉に、漣は鼻で笑って言い放つ。どれだけ言われようと痛くも痒くも無い、と。
「それとも、強引にでも連れて行くか?」
 漣は不敵な笑みを浮かべ、挑発的な言葉を口にする。
 ティーンが口を引き結んだ。力ずくで漣をレグナへ連れて行くのが難しいと理解しているのだ。漣が操る力は一人が相手だろうと複数が相手だろうと対応できる。
 かつてのレーンを知っている者達にしてみれば、今の漣を敵に回すことの厄介さが理解できるはずだ。
「……くっ」
 ティーンが小さく呻いた。
 漣を説得できないと、ようやく理解したのだろう。レーンと名乗っていた頃、比較的近くにいたティーンはもう判断できてしまったのだ。交渉は無理だ、と。同時に、強行手段も成功する可能性は極めて低い。
「ほら、さっさと帰れ」
「そうも行かないと言っただろ」
 手をひらひらと振る漣に、ティーンが顔を苦悩に歪めながら言う。どうにも怒りが半分以上を占めているようにも見えるが、漣は無関心を決め込んだ。
 ティーンが言葉を選んでいると、突然鈴の音が聞こえた。
 小さいが、澄んだ音だ。細く、余韻を響かせている。音源は漣にも判別できた。
 ティーンが左耳につけていたイヤリングだ。イヤリングとして下げられた結晶が細かく振動し、淡く光を放っている。
「お呼びがかかったみたいだな」
 小さく笑みを浮かべて、漣は言った。
 イヤリングの結晶は、連絡用のものだ。本来ならば会話もできる代物だが、別世界にいる相手と言葉を交わすのは無理だ。世界の軸が途切れているため、音で呼び出しを知らせるぐらいしかできない。
 故に、他の世界にいる際に呼び出しがかかったら重大な問題が生じたという印でもある。直ぐに帰還しろ、という意味なのだ。
「……サイ、お前は残れ」
「え?」
 ティーンの言葉に、サイと呼ばれた女性が驚愕に目を見開いた。
 栗色のセミロングの髪は右側が長く、左側は短い。後ろ髪は首筋を隠す程度だ。やや釣り目がちだがぱっちりした瞳を、今は大きく見開いている。ティーンの部下、騎士というだけあって、身体は引き締まっている。胸は標準から考えるとやや小ぶりだが、スタイルが良いために一見すると小さくは見えない。
「ん? サイ?」
 知り合いの名前に、漣も目を瞬かせた。
「な、何で私が!」
「あいつを監視し、説得してレグナに連れ戻せ」
「え、でも、え……?」
 ティーンの言葉にサイが眉根を寄せて複雑そうな表情を見せる。
「なんだ、お前ティーンの下に配属されてたのか」
 漣が何気なく呟く。
 サイ・エスレヴェルは漣の後輩だ。彼女が見習いから正式な騎士になって直ぐに漣が追放されたため、サイがどの部隊に配属されたのかは知らなかった。
 ただ、今のサイと昔漣が見た彼女ではどこか雰囲気が違う。確かにサイ本人なのだが、どうにも印象が変わっているような気がした。
「俺達は招集が掛かったから戻る必要がある」
「い、嫌です! なんであんな奴を……!」
「俺達も手が空いたら戻って来る。それまではお前に任せる」
「そんなぁ……」
 ティーンに諭され、サイが困り顔になる。上司の言葉に、部下は逆らえない。文句は言えても従うしかないのだ。
「無駄だから一緒に帰ってもいいぞ」
「なっ……!」
 口を挟んだ漣に、サイが絶句する。
「難しいだろうが、頼んだぞ」
「え、ちょ、そんな!」
 溜め息混じりにサイの肩に手を置いて、ティーンが銭湯から出て行く。部下達もそれに続き、サイを気の毒そうな視線で見てからすれ違って行った。
 サイはどこか見捨てられた子犬のように肩を落として、去って行く仲間を見つめていた。
 漣はというと、既に盗撮した動画の編集に意識を向けている。
「……レーン」
「久しぶり、サイ」
 名を呼ばれてから、漣は顔を上げた。
 ティーンに対する態度とは明らかに違う口調だった。
「なんで?」
「なにが?」
 険しい表情のサイに、漣は首を傾げて見せる。
「どうして断るの!」
 サイは責め立てるような口調で漣を問い質す。
「どの道、戻ったって良い顔されないだろ?」
 追放された漣がレグナに戻っても、失った信用が直ぐに回復するわけではない。信用とは、崩しやすく築きにくいものだ。どれだけ漣が良い働きをしても、過去は消えないのだから。
「だからこそ、やらなくちゃ信頼の回復もできないじゃない!」
 サイが漣に迫る。
 だからこそ、やらなくちゃ。
 サイはそう言ったが、漣は元から乗り気ではない。むしろ、レグナに戻るつもりはなかった。
「俺はこっちで平穏に暮らしたいんだよ」
 レグナはリヴドという世界と敵対している。レーンだった頃の漣は、レグナの主戦力の一人として戦う立場にあった。だが、あることがきっかけで漣はレグナを追放された。追放された先がこの世界だ。
 他の世界と争うこともなく、平穏に暮らせるこの世界を、漣は気に入った。
「こっちはいい世界だよ、ほんと」
 微笑む漣に、サイは怒ったような、納得できないような表情を浮かべる。
「……見損なったわ!」
 サイはそう吐き捨てると、踵を返して銭湯から出て行った。
「見損なった、か」
 漣は溜め息をついて視線をディスプレイに移した。
 昔のサイはもっと好意的だったなぁと思いながら、漣は手を動かして行く。麗しい美女達の肢体が映えるように、撮影された動画を編集していく。形の良いヒップラインや、引き締まったウェスト、バランスの取れたバストに口元は緩み、漣の意識は編集作業へと集中していった。

 朝、目を覚ました漣は部屋を出たところにある流し台で顔を洗った。
 銭湯の建物と接するように建てられた小さな小屋を漣は自宅としている。八畳程度の畳部屋と廊下が一つずつという簡素な小屋だ。敷布団を畳んでから押入れへと片付け、朝食の準備を始める。
 冷蔵庫の中から適当に野菜を選んで刻むと、昨日の残りの味噌汁の中へと放り込む。少なくなった嵩を増やして、一食分の味噌汁にした。自分でも雑だとは思うが、味噌汁の残りが勿体無いので使う。炊き上がった白米と、温まった味噌汁を器へ盛って小さな机の上に置いた。一つしかない椅子に座り、両手を合わせて箸を取る。
「便利だよなぁ、こっち」
 ふりかけの切り口を裂きながら、漣は呟いた。
 この世界に来てからつくづく思うことだ。
 レグナやリヴドには単純な機械はあれど、この世界のパソコンのようなものは存在しない。冷凍食品やインスタント食品といったものもない。
 厳密に言えば、レグナやリヴドではこの世界ほど存在価値がないものなのだ。冷凍保存はレグナやリヴド独自の原理で可能であり、機械の様々な機能を肩代わりする道具が他にある。
 ただ、それでもこの世界にあるものは漣にとっては面白いものばかりだ。
 ふりかけといった、簡易的なおかずや、冷凍食品などの暖めたりお湯を注ぐだけで食べられる主食はレグナにはなかった。
 元々、世界は一つだった。どこかで分岐した世界が異世界となり、現在の状態へ繋がっている。文明の発展程度が違っていたり、技術力が違っていたり、世界そのものの法則が違っていたりと、異なる点はいくつもある。だが、世界が元々は同一の軸にあったという証拠もある。言葉と、生物だ。
 人間という生物の存在と、言葉だけはどの世界も共通している。国が違えば言語も変わってくるが、どの世界にも必ず一つは他の世界でも通じる言語があるのだ。同時に、人間という生物が共通しているために、食物や料理も似通っている。
 故に、他の世界に溶け込むことができる。漣のように。
「ゴミ多いのが難点だよなぁ」
 空になったふりかけの袋を見て、漣は呟く。
 便利だが容器ゴミが尽く出るのがこの世界の難点だと思う。環境問題とも呼ばれて表面化していることでもあるが。
 食事を終えた漣は器を片付け、部屋を出る。
 小屋と銭湯は壁で接していても直接繋がっているわけではない。小屋から外へ出て、銭湯の建物へと入らなければならないのだ。
 いつも通り銭湯の掃除を始め、湯の調節をして玄関付近を箒で掃く。
 挨拶してくる子供達を笑顔で見送った。小学生、中学生、高校生と、朝の早い時間帯の子供達と挨拶を交わして掃除を続ける。
「意外だわ」
 子供達が見えなくなってから、漣の隣にサイが現れた。
 昨日見た、レグナの服装ではない。この世界の服を身に付けている。ワイシャツにジーンズという格好だ。
「意外って、何さ?」
 服装については何も言わず、漣は言葉を返した。
 この世界で漣を監視する、ということは暫くはこちらで生活するという意味だ。ならばレグナの服装で生活するわけにはいかない。
「あなた、こんなに慕われてたの?」
「頑張ったからね」
 にっこりと微笑んで、漣は答えた。
 銭湯で働き始めてから、漣は付近の人達との関係に気を遣った。挨拶は必ず行い、少しずつ信頼を得て来たのだ。今では皆、漣を慕ってくれている。
「じゃないと、客減るし」
 漣は小さく苦笑した。
 客が減っては困る理由がある。生活費などの金銭面での問題もあるが、漣にとっては別の理由が大きい。サイには言えないが。
「こんな朝早くからしっかり掃除までしてるのね」
「見直した?」
「まさか」
 素っ気無くサイが顔を逸らした。
 朝から綺麗に掃除を行うことでも漣は信頼を得て来たのだ。
「ま、趣味も実益も兼ねた良い仕事だからね」
 少しだけ怪しく笑って、漣はサイから顔を背けた。サイは眉根を寄せていたが、気にせずに掃除を続ける。
「おはようございます、漣さん」
「はい、おはようございます、佐久間さん」
 不意にかけられた言葉に、漣は今まで浮かべていた表情を一瞬で消し去って振り返り、笑顔で応対した。
「今日もサークルの集会ですか?」
「いえ、今日はこれを漣さんに……」
 そう言って、佐久間は手にしていたバッグから小さな袋を取り出した。桃色の袋に、可愛らしくリボンで口が締められている。
「あら、そちらの方は?」
 漣に包みを手渡す時に気付いたのか、佐久間がサイに視線を向けた。
「彩(さい)です。月城(つきしろ)、彩」
 サイ、もとい彩が佐久間にこの世界での名前を名乗る。
「私の昔馴染みなんです。昨日、こちらに越してきたらしくて、ちょっと話してたんですよ」
「え? ちょっと……?」
 漣の言葉に彩が目を丸くした。
「そうだったんですか。私は佐久間楓と言います。宜しくお願いしますね」
 優しげに微笑む佐久間に、彩が困惑する。
「佐久間さんは常連客の一人なんだ」
 漣は笑顔を彩に向けて説明する。先程までと雰囲気の違う漣に彩は戸惑っているのだろう。解っていても、漣は何も言わなかった。
「お、クッキーですか」
「はい、サークルの皆に、と思って作ったもののおすそ分けです」
 漣さんにはお世話になっていますから、と佐久間が微笑む。
「ありがとうございます。……うん、美味しいよ、とても」
 一つ齧って、漣は佐久間に笑みを返す。
 甘過ぎず、それでいて薄過ぎず、後味がさっぱりしていて食べ易い。市販の高級クッキー並か、それ以上に上品な味だった。しっとりしたクッキーの食感と、隠し味か何かで入れたのか柑橘系の風味が絶妙だ。
「彩も一つどう?」
 佐久間に目配せしてから、漣は彩にクッキーを一つ差し出した。
「あ、う、うん、じゃあ、一つだけ……」
 おずおずと受け取って、彩がクッキーを口に運ぶ。
「――美味しい!」
 彩が目を見開いて驚いた。
「本当ですか! 良かったら、また作りますね」
 佐久間が柔らかく微笑む。
「余裕があったらお願いします」
 解りました、と佐久間が漣の言葉に頷いた。
 笑みを交し合う漣と佐久間を、彩は黙って横から見ている。手にしたクッキーをゆっくり齧りながら。漣は何も言わず、佐久間と会話を続ける。彩の監視任務なのだと予想して。
「じゃあ、今夜、また立ち寄らせて貰いますね」
「お待ちしてます」
 大学へ向かう佐久間を漣が見送る。
「ふーん……」
 佐久間が見えなくなってから、彩がどこか不満そうに漣を見た。
「随分と態度が違うのね?」
「でも偽者の人格ってわけじゃないよ」
 クッキーを一つ齧りながら、漣は答える。
 相手によって確かに態度は違うが、漣は二重人格ではない。多少は誇張している部分もあるが、ほとんど本音だ。嫌な相手には苛立ちを隠さず、好意的な相手には穏やかに対応する。誰でも同じ部分はあるのではないだろうか。
「もう一つ、いる?」
「いらない」
 漣が差し出したクッキーに、彩は首を横に振った。不機嫌に見えるのは目の錯覚ではなさそうだ。
「もしかして、焼き餅焼いてる?」
「そんなわけないでしょ」
 クッキーを口に運ぶ漣に、彩は馬鹿馬鹿しいと呟いて背を向けた。
「住む場所とかは確保したのか?」
「ご心配なく。すぐそこの商店街でアルバイトすることにしたから」
 背を向けたまま、彩が素っ気無く答える。どこか漣を馬鹿にしたような口調にも聞こえた。
 彩が立ち去ってから、漣は小さく息を吐いた。
「昔だったら喜んで受け取ってたんだけどなぁ」
 やっぱり変わったな、と思う。きっかけに心当たりがない訳ではないが、過ぎたことを考えても仕方がない。どの道、漣にはどうしようもなかったことだ。
 漣は気を取り直して掃除に意識を戻した。

 日が傾いた頃、漣は番台で携帯ゲームに勤しんでいた。
 レグナやリヴドにない娯楽の中で、漣の関心を最も惹いたものの一つだ。パソコン並の技術を惜しみなく使った機械の塊に、ゲームディスクやカートリッジロムをセットして遊ぶものだ。据え置き型と呼ばれる、テレビ画面に直接繋ぐハードもあるが、流石に番台ではできない。
 携帯機なら本体にディスプレイがあり、テレビを必要とせずにプレイできる。
 女湯の脱衣所を覗くための機器を密かに配置している漣の番台の中には電源が引いてあるため、電池切れも心配ない。
「最近の機器の進歩って凄いよなぁ」
 漣の本音だ。
 レグナにいた頃、任務などで一時的にこの世界へ来たことがある。その時から漣はこの世界に魅力を感じていたわけだが、たった二、三年の間にゲームハードのスペックは上昇し、携帯機の画質やデータ容量も格段に向上している。精密機器の技術進歩には目覚ましいものがある。
 小型カメラの画質は上昇し、動画編集プログラムも精度が高くなった。
 夕方にはなったものの、客が来るのはもう少し経ってからだ。学生の下校時刻を過ぎて、一時間か二時間後から客足が増えてくる。それまでは極めて少ない。勿論、ピークの時間帯まで客がいないわけではない。他の銭湯を比べたら多い方だ。
 もっとも、今は客が全くいないわけだが。
「よぉ、探したぜ」
 不意に聞こえた声に、漣は携帯機の画面から顔を上げた。
 長い金髪を首の後ろで纏めた青年が立っていた。好戦的な切れ長の双眸と、整った鼻筋に長身のスマートな青年だ。昨夜訪れたティーンや彩と同じ白いコートを着ている。
「クーヤ……?」
 漣は携帯機の電源を切った。
「あんまり驚かないんだな?」
「まぁ、昨日の今日だし」
 どこか不思議そうな表情を見せるクーヤに、漣は頬を掻いた。
「昨日?」
「あれ? お前知らないのか? ティーンが来たんだよ」
 むしろ、クーヤがティーン達の行動を知らないことに漣は驚いていた。
「そっか、昨日だったのか」
 期日だけ知らなかったらしく、クーヤが納得する。クーヤはそのまま少し考える素振りを見せる。
「お前はティーンのところには配属されなかったんだな」
「ああ、四戦司の下じゃない。もっと下の方だな」
 漣の言葉にクーヤは苦笑した。
 実力はあるが、クーヤはレグナで余り優遇されていない。彼がリヴドの出身だというのが一番の理由だ。敵対する世界の人物であるが故に、クーヤは寧ろ冷遇されている。
「で、お前も俺にレグナに戻れって言いに来たのか?」
「いや、違う」
 漣の言葉に、クーヤは首を横に振った。
 最初からクーヤにその気はなかった。漣には判る。尋ねたのは確認のためだ。
 クーヤにはリヴドを追放された過去がある。漣に近い位置にあると言い換えることもできる。ただ、クーヤの性格を考えれば漣を連れ戻そうとは考えない。レグナにいない漣の力を借りるぐらいなら二人分戦うと言い出すのがクーヤだ。
 ならば何故、漣を尋ねて来たのか。
「俺に力を貸して欲しいんだ」
 クーヤの口から出た意外な言葉に、漣はただ目を丸くした。
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