8、エピローグ

 勝者たるカスタード共和党(即日解散)の前には、敗者たるあんこ原理主義者たちが揃いも揃って地に膝をつき、頭を垂れて許しを請うていた。
「すみませんでした!」
 他、ご迷惑をおかけしました、生意気言って申し訳ありませんでした、自分達がいけなかったんです、ちょっと魔が差してしまったんです、ていうか生まれてきてごめんなさい、などなど、数々の謝罪の言葉が彼らの口から多数出現することになるのだが、面倒くさいのでそこら辺は省略として、シンプルな謝罪だけがヤマゲリ山に響き渡っているのだ。
 それから延々と十分くらいした後で、ノブサンは充分に反省が行き届いたことを確認し、三人に告げた。
「もう良い。顔を上げろ」
 パァッ、と三人の顔が輝き、宮ちゃんなんかは感涙に咽びながらも、それぞれが面を上げ、互いに「ああ良かった」、「これで時代もよくなるねぇ」なんておばちゃんぽい話し口で捲くし立てていたので、ノブサンは冷静に宮ちゃんに一発をくれてやる。
 ドゴス!
「ギアッ!?」
 腹を抱えて蹲る宮ちゃん。その様子を見て他の二人は怯えたように抱き合っていた。
「な、なしてぇ……?」
 力無い宮ちゃんの声。
「頭が高い」
 ノブサンは宮ちゃんの頭に足を載せると、ぐりぐりと地に押し付けた。
 グリグリ。
「ああああっ!? ちょっと気持ちいいかも……」
「うわっ、気色悪っ!」
「毛深くなるぞぉ〜」
「来んな! 来んな!」
「んん〜っ、待ってよぉん、待ってよぉん」
「ええい、死にさらせ!」
 ドゴン!
 ノブサンのゲンコツが見事に宮ちゃんの脳天に直撃し、
 ゴガンッ!
 宮ちゃんの額が真下の岩にぶつかって割れた。
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――――っ!?」
 盛大に吹き出る鮮血シャワー。宮ちゃんの絶叫が響き渡る。ノブサンはその様子に少し驚きながらも、
(悪いことしたなぁ。ついつい本気で殴っちまった)
 と悪ノリを反省した。
 それはともかく。
 再びノブサン達の前に正座させられた三人は、バンダナで無理矢理に傷口を塞いだ宮ちゃんのマヌケ面以外は、真剣な表情で判決を待っていたのだ。
 代表してハルマが口を開いた。
「もうたいやきで争うようなことはするなよ」
 と咎めるような口調で言うと、
「はいっ!」
 と理想的な返事が返ってきた。
「よし。じゃあサバゲを続けるか」
「えっ!? てことは我々は!?」
「反省がすんだならそれで良いんだ」
 一瞬だけ呆けた三人ではあるが、言葉の意味を正確に理解した時、固まった表情が途端に明るく輝き出した。
「ひゃっほ〜い、これで晴れて無罪放免だ〜い!」
「良かった……何か罰ゲームでもさせられるのかと思ってた」
「これで屋敷で待つ妹たちにも顔向けが出来る……」
 などとはしゃぎだした。子供ですね。
 そんな三人を、まったく、と言った感じで見つめるノブサン、ハルマ・わげ、くろひも。気分はすっかり保父さんですか?
 うほほ〜いうほほ〜いとはしゃぎ回る宮ちゃん。その足が崖のほうに向いたのを見てノブサンが、「危ないぞー」と注意しようとした、その時!
 ザリッ!
「ぎゃああっ、あっ!? あぼげ、あげれれれ、ぱ、ぱぷあっ、ニューギニアぁぁぁぁぁぁ!」
 宮ちゃんが足を滑らせて落下していった。
 …………。
 しーん。
 静まり返ったフィールド。恐る恐るノブサンが崖を覗いて見ると、そこには血に塗れて頭を地に深々と突き立たせた無残な姿があった。
 享年17歳。

 その後、仲直りした彼ら五人は、宮ちゃんのことに構う事無くサバゲを楽しんだと言う。


ノブサンの手の中にあるのは宮ちゃんの遺品のお髭さま付き鼻めがねです。かわいそうですね。


今月の一枚!
サバゲ中に謎のキノコ星人を発見! 直ちに捕獲・殲滅し、見事に菌生物から地球の平和を守りました!



ゲリラリラ長野支部特殊自主訓練その1
「戦慄のたいやきチーム理論 の巻」終わり。

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