2、大シャッフル・サバゲ!

「いやはや。遅れて悪いね」
 あっけかん、とヤマゲリラ。吹雪も無事に止んで、時々ながらも日の目を見る事の出来る、そこはかとなく有難い陽気になってきたヤマゲリ山。北風がまだまだ冷たい夕焼け四時過ぎながらも、今まで以上にその場は明るく、また和やかであった。
 ちなみに南澤@は落ち着きました。流石はカフェイン様効果ですね。
 どたまの流血を押し止めた宮ちゃん♪がホッとしたように笑顔を見せて、
「いやいや全然大丈夫でゲスよ。これで8人揃って、四対四のサバゲが出来ますな」
 ワハハハッ、と素敵な笑い声が夕暮れ間近のヤマゲリ山に響き渡る――
 しかし和やかさは一瞬だった。
 ヤマゲリラは笑いながら、
「あー。ごめんねぇ、時間なかったからバッテリーが持たないかも……」
『なにぃっ!?』
 その場の全員が凍りつく。
「バッテリーが持たない……?」
「そ、一時間しか充電してないからさ」
「一時間、か……」
「ちょっと撃ってみるから弾貸してよ」
 ヤマゲリラがいそいそとナイツの銃床底部を外してラージ・バッテリーを挿入し始めた。ノブサンが白色弾を300連マグに詰めて、ヤマゲリラに渡す。
 ガシャン! ナイツにマガジンが装填された。塹壕から林のほうに照準を合わせて、ヤマゲリラがトリガーを引く。
 パシュウゥゥン……
 弾丸は勢いなく飛んでいった。
「…………」
「…………」
「……駄目だこりゃ」
「うん、こりゃ駄目だ」
 彼らは早々にナイツを諦めた。
 しかし困ったものである。
 今日は気温が低すぎてガスが使えない。
 装備が圧倒的に不足していた。
「どうしようか?」
「あ、でもスコーピオンならあるよ」
 エアコキですな。
「でもそれだとやっぱり@さんがエアコキ・ガバメントで戦うことに……」
 全員が南澤@に視線を集中させた。
「あ、私なら大丈夫よ。今まで通りで問題なし」
 あっけらかん。
 そ、そう……と宮ちゃんも思わず頷くしかできなかった。
 しかしながらかといって。
 さすがにそれは不平等なんじゃないの、と宮ちゃんは思ったので、
「題して! 装備シャッフル☆素敵ジャンケ〜ン!」
『!?』
 …………え?
 その場の誰もが凍りついた。そりゃそうだよ、宮ちゃんがいきなり奇声を発するんだもん。
「……なに?」
 ノブサンが沈黙を破って見せた。
 それに宮ちゃんは、カッコ良く「武部の勤くん発案ポーズ」で腕を高々と掲げたまま、
「ジャンケンしよう。そして勝った奴から装備を決めていこう。と、言うことだ」
 と、言うことらしいですよ。
 …………。
「不公平感を無くすための装備シャッフルか」
「考えたな。宮ちゃんの割には」
「中々に良いアイデアだと朕も思うのぉ」
「悪くはないよね」
「でもさ。自分の装備は選べるの?」
「流石にそれは無いんじゃないの」
「いや、ありで行こう。効率性を重視する」
 と、トントン拍子に話は進んでいった。発案者の宮ちゃんは置いてけぼりですけどね。
 そんな訳で最初はGoo! サ○トウケ〜ン!

〜暫くお待ちください〜

「なんですかあれは〜!」
 宮ちゃん♪の悲痛な叫びが木霊する。
「選挙はジャンケンポンで決めるものではありませ〜ん!」
 抗議の声はハルマ・わげも一緒である。
『あれは人を馬鹿にしているとしか思えませ〜ん!』
 実はこの二人、ノブサンに対する悲痛な訴えを「某政党のユキオ君」の真似をしながら口にしていたのだ。
 しかしそんな二人の叫び声も、ノブサンには全く通用しないのである。
「サバゲはジャンケンポンで装備を決めるんです。提案したのはお前だろうが」
 宮ちゃんに一瞥。
 宮ちゃんは後退。
 宮ちゃんが躓く。
 ガンッ!
 大き目の石に頭を打ちつけた。
「ぎゃあぁぁぁぁぁ――――!」
 古傷が割れて血が噴出してきた。痛そうですね。
 ハルマはそんな宮ちゃんを気に留めることもなく抗議を続けた。
「だからって撃てないってナンですかー」
 そう言って手に持ったグロック18を振り回した。
 話は簡単、マイクロバッテリーの充電切れである。
 これでまた貴重な装備が減ったのだ。
「だって使ったの俺じゃないもん」
 ノブサンはずっとP90を使っていた。
 うっ、とハルマは詰まった。
 言い返せない。
「ぐぅ……」
 出るのはグゥの音だけである。
 …………。
「まぁ、しょうがないか」
 ハルマは意外とポジティブだった。
「まぁ、しょうがなかんね」
 宮ちゃんは仲間がいなくなったのであっさりと引いた。
 まぁそんなわけで色々とあって。
 それぞれの武装とチームが決まったのである。

―ナポレオンチーム(仮)―
 ノブサン:P90
 ハルマ:スコーピオン(宮ちゃんと交換)
 峻厳殿:APS−2
 宮ちゃん:エアコキグロック17(ハルマと交換)
―ネルソンチーム(仮)―
 ヤマゲリラ:G3SAS
 南澤@:M16A1
 しょぼ助:エアコキ1911
 ヒモ:VSR−10

 とまぁ、なんだかあんまり変わんない気もする。
 まぁそれは良しとして。
「ほんとにグロックで良いの?」
 サバゲスタート直前、戦闘配置に着くために塹壕とは反対側に向かう途中、ハルマが宮ちゃんにそう尋ねた。
 それに対して宮ちゃんは、
「あー。良いの良いの。これだったら楽できるから」
「何故でごわす?」
 と声を上げたのはウィリアムスだ。
「ミリタリー・バランスとして、戦闘力の弱いグロックでは苦戦を強いられるだけでごわしょう?」
 しかし宮ちゃんは笑った。
「真面目に戦えばね」
「真面目にってお前……」
 ノブサンの呆れ声。真面目にやらんのかい、と言外に非難の響きがある。
「だってさ、今回は脇役キャラに徹せるんだもんさ、だったら弱い武装で前線に出ずに後ろから観戦してよーかなぁ、と思ったわけよ」
 宮ちゃんは満面の笑みで答えた。
 ……………………。
 この野郎、と三人の額に青筋が浮いたのは言うまでもない。
「まぁ、良いや」
 ふうっ、と溜息一つで全てを吐き出したノブサン。大人ですね。
「そろそろ時間だな」
 四人はそう言って、いま来た道を振り返る。大丈夫か? とノブサンが問うと、大丈夫! と元気のいい声が全員が返事をしたので、それぞれは顔を見合わせ、ニヤリと笑った。
 右手奥の小屋の中にお地蔵様が見える、そんなここ。ヤマゲリ山最東部に当たり、後ろには連なる町並みすらも見渡せるそんな場所で、全員が少し悪どい笑みを浮かべる。頷きあったその瞬間に、彼らは山頂へと走り出した。
「とっつげき〜!」


(写真:ナポレオンチーム突撃!)
前面が宮ちゃん♪、後方は左からノブサン、ハルマ・わげ、ウィリアムス・峻厳殿。宮ちゃんだけが突っ走ってますね。変態に間違われそうです。

3、ヤマゲリラと南澤@、或いはカバディの目覚め

 その頃のヤマゲリラ達は。
 滞りなく進んでいた。


(写真:ネルソンの出航!)
左からブラック・ワイヤー、ヤマゲリラ、南澤@、しょぼ助。宮ちゃんに負けず劣らず、ワイヤーの方も突っ走ってますね。

 周囲への警戒は当然である。先頭に連射力とパワーに優れたヤマゲリラ・南澤@を配し、エアコキガバメントのしょぼ助がこの二人を補佐、殿に敵の掃討を任されたワイヤーが狙い撃つ。ナポレオンチーム(仮)とは全く違う、均整の取れたチームワークで、隙なく前進していくのだ。
「…………」
 しょぼ助は右手で握ったグリップ部分を左掌で包み込むようにして銃身を顔の前に引き付ける、世に言う「セガール撃ち」(←呼んでるのは宮ちゃん♪だけです。念のため)の姿勢を取っていた。左側が崖になって、安全対策にフェンスが張られている、この狭い道から、ヤマゲリ山は一気に視界が開けるようになっている。このスタンスを取ることで常に前方に気を使いつつ、即座に周囲への対応が取れるのである。だからってセガールのようにちょっと厳しい表情は良くないですよ。笑顔笑顔♪
 四人はネルソン艦隊の如く俊敏に、しかし海上戦力には似つかわしくない隠匿力を駆使し、次々と前進して行ったのである。
 そして視界が晴れたとき――
(居たぞ!)
 ヤマゲリラが素早く人差し指と中指を立てた。直後にそれをヒモに向け前方へ移動するように示す。
 身を低くしつつも、ヒモは軽快に移動を開始した。その後ろをしょぼ助が追う。急な坂の上に影が見えたのだ。誰だかはわからない。罠の可能性もある。だからヒモたちに前を警戒させ、電動の自分と南澤@は全力で一人を叩くのである。
 ヤマゲリラはSASを構えた。ストックの無いサブマシンガンは構え難い。ドット・サイトも無いため照準も見難かった。しかし金欠の宮ちゃんの銃である。そこまで求めるのは酷というものか。
 セレクターをフルへと変更。照星と照門の合致。両腕のブレを抑え込む。
 準備オーケー。南澤@へと視線を向ける。完璧な連動だった。それを確認しての、ファイア。
 バババババアッバババババババババアッ!
 瞬時に2線の弾幕が走った!
 パタタタタタタタッ!
「ギャアアアアアアアアアアッ!?」
 見事命中!
 敵は盛大な叫び声を上げた後に、「ひ、ヒットォ……」と力なく片手を挙げるのであった。
 一人撃破。
 それは喜ばしい事態のはずである。
 しかし、ヤマゲリラの顔は強張っていた。
「ば、馬鹿な……」
 その呟きは南澤@の耳にも届く。
「どしたの? ヤマちゃん」
「撃てない……」
 ヤマゲリラはSASを見下ろした。
 トリガーを引いても返事は無い。
 ウンともスンとも。
 …………。
「!」
 ヤマゲリラは重大な事実に気が付いた。
「スィイット! バッテリー切れだ」
「ヤマちゃん……そんな明らかな悪態つかんでもいいんでないかい?」
「ははは……。どうするか」
 SASのハイダーを外してフォア・ハンドを取り除き、コードからバッテリーを引っこ抜いてよくよく観察してみる。
 SAS本体には(イングラムに付属してきた)フラッシュライトが装備されていた。WALTHERって書いてある奴ね。
 SASを眺めて思いついた。
「……じゅー・でん!」
 なんと! ヤマゲリラはライトを点灯してバッテリーに当てたではないか!


(写真:充電風景)
希望の光よ今ここに!

 しかし無意味だった。
 当然だよね。
「……………………(落)」
 深く落ち込むヤマゲリラ。落胆が背景に暗い影を落としているかのようだ。なんとも痛々しいではないか。


(写真:絶望のヤマゲリラ)
思わずフェンスに凭れ掛かってしまうその姿、とても哀愁をそそりますね。

 その姿を見て、南澤@も自分が心配になってしまった。M16をどうでも良い方向に向けて一射してみる。
 ハプン。
 間抜けな音が当たりに響いた。
「……あれ?」
 もっかい撃ってみる。ハプン、前と同じ、空回ったモーター音。
 弾が出ていないではないか。
「…………ッ!」
 南澤@は驚愕した。
「あわわ……!」
 大慌ての南澤@。思わず銃身を逆さにして上下動を繰り返してしまう。意味ないですよ、南澤@。


(写真:振り振りシェイク! このまま朝まで)
南澤@もさることながら、落ち込みきったヤマゲリラが可哀想ですね。

「た、弾切れ……!?」
 南澤@は膝をガクンと折ってしまう。
 こうして二人は、深く絶望の底へと追いやられてしまったのであった……。
 そりゃあもう、「どうしたの〜?」と言うヒモたちの声すら聞こえないほどに。
 ………………。
 ……………。
 …………。
 ………。
 ……。
 …。
 奇妙な沈黙が場を支配したその時――
 ヤマゲリラと南澤@は、どちらからともなく、目を見合わせていた。
 二人の口が小さく開く。
「……ディ?」
「…バディ?」
「カバディ?」
「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」
『カバディ――――――!』
 なんだかとても理解不能なテンションですね。
 二人は大いに勢いをつけて立ち上がり、ニヤリニヤリと顔を突き合わせ、焦りや絶望から恍惚へと、その表情を昇華させる!
『カッ、バディ〜!』
 二人は笑顔でポーズを決めた――


(写真:パイレーツおぶカバディアン)
二人とも胸元がとてもセクシーです。

3、カバディ続々増殖中!

 頂上を制圧したナポレオンチーム。地理的にも有利に戦闘を進められる環境が揃っていることから、彼らは比較的に余裕で待機ポジションを探していた。
「ウィリアムスはここいらに居れば狙撃が容易だよ」
「いや、おいどんはもう少し前目の位置で狙いたいでごわす」
「でもここならカモフラージュは万全だし……」
「おいどんはアクティブに戦うでごわす」
「あ、そう……」
 スナイパーで能動的になってもらってもなぁ。と思う宮ちゃんであった。
「俺はこの辺りから警戒するわ」
 ノブサンがそういって灯篭方面へと向かう。火力に優れたノブサンこそアクティブにならねばならないからだ。
「んー。頼むわ」
 宮ちゃんはそう言って前を向いた。
 進退が決まっていないのは宮ちゃんとハルマである。
 二人は数秒、互いに顔を見合わせた後に、
「向こう行くわ」
 ハルマが崖方面を指差し、
「んじゃ私は適当に逃げてますかね」
 偉そうに及び腰な宮ちゃんであった。
 そしてハルマが歩き出す。
 しかし宮ちゃんは、ふと思い立って、彼を呼び止めた。
「ハルマ……」
 ハルマ・わげが振り向く。宮ちゃんは口を開いた。
「気をつけるんだぞ」
 真剣な宮ちゃんの表情に思わず苦笑。
 そして答える声。
「大丈夫だよ」
 ハルマはニコリと微笑んだ。
「おれぁ命知らずなんだ」
 親指を立ててから、グットラック! とハルマは離れていった。
「…………」
 取り残された宮ちゃんは、その背を無言で見送った。
(――命知らず、か)
 ダメじゃん、なんて事は、哀愁漂うハルマの背中には不似合いだったのだ。


(旅立ちのハルマ・わげ)
彼は確かな一歩を踏みしめたのです。


 ―数分後―
「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」
 奇声を発しながら坂を上ってくる南澤@とヤマゲリラの姿に、ノブサンと立ち話をしていた宮ちゃん♪と、舞っていた蝶々を追いかけていたウィリアムスがたいそう驚いた。
 な、なんだぁ? と思いつつ様子を見てみると、二人とも装備を頭の上に上げて、自分が無力であることを示しているではないか。
 彼らはキビキビとした動きで投降してきたのである。びっくりだね。
「ど、どしたの?」
 宮ちゃんが二人にそう声をかけると、
「俺たちカバディだから!」
 という謎の返答が帰ってきた。訳が分かりませんね。
「……かばでぃ、ですか?」
「Yes、デル・ピエロ!」
 ヤマゲリラがちょっと前の「アディダス+10 アレッサンドロ・デルピエロvs中村俊輔ver」CMのような答えを返すと、
「ピントリッキオとカバディぁ関係ないやん!」
 宮ちゃんのノリはそれなりに良かった。
 しかしノブサンはそれを無視するのである。
「いったいどうしたんだ?」
 え、シカト!? と宮ちゃんがそれなりにショックを受ける。
「バッテリーと残弾が切れた」
 ファースト・カバディ:ヤマゲリラとセカンド・カバディ:南澤@が、ニッ、と白いんだか白くないんだか分からないけどとにかく歯を見せて爽やかに笑った。
 そのさまを見て宮ちゃん♪は、
(今日の夕飯はカレーが良いなぁ)
 と思ったとか思わなかったとか。
 それはともかく。
「つまり戦闘不能なのね」
 とノブサンが決定付けると、
「そ。だからここらでカバディさせてもらうから」
「さっきからカバディってなんなのー!?」
「え? カバディはカバディさ」
「そ、そうなのか」
「そうさ。人類はカバディなしじゃ始まらないのさ」
「なんかアバンギャルドばい……」
 そんな話をしていたときである。
 崖方面からハルマ・わげが下ってきた。
「よ、ハルマじゃん。なんか見つけたか?」
 と宮ちゃんが気楽に声をかけると、ハルマは黙って宮ちゃんにスコーピオンを差し出した。
「はい☆」
「は、はい?」
 宮ちゃんは訳が分からない。
「俺さ。殺られたから」
「早っ!」
「じゃ、あとよろしく」(にこやかな笑顔)
「……ああ、さっきの悲鳴はお前だったのか」
「なんかね。下から唐突に弾幕が襲ってきてね。何も出来なかったよ……」(落ち込み気味で)
 ハルマは少し残念そうだった。
 すると、そんなハルマを挟み込むようにしてカバディ二人が立ち止まり、彼らは見事に横一線になった。
 何がどうしたのかとついて行けていない周囲をよそに、ヤマゲリラが高らかに宣言する。
「これぞ新技! 『カバディ・スリー』だ!」


(写真:カバディ・スリー)
フィリップ・トルシエもビックリなくらいにフラットです。

 …………………。
 皆が置いてかれてますね。
 ハルマも思わずキョトンである。
「……なに?」
 勇気を振り絞ってノブサンが尋ねる。
「えっ!?」
 ヤマゲリラは、信じられない、と言うように驚愕した。
 その様子に思わず、馬鹿、とノブサンをどついてしまう宮ちゃん♪。
(滑ったネタを説明するほど恥ずかしいことはないんだぞ!)←ヒソヒソ声で
(いやだってさ、分かんないんだもん)←ボソボソ声で
(空気を読めー!)←メシャメシャ声で
 などと言ってる間に、ヤマゲリラは頬を赤らめ、モジモジしつつも、
「あのね、昔、フラットスリー、ていう三人が横一直線になるサッカーの戦術が流行ったでしょ? だからそれとかけて三人が並んでみて……」
「一度ハズしたネタをもう一度わかりやすく説明しているー!」
 思わず周囲の全員にまで赤面が感染してしまいましたね。
 そんなヤマゲリラの様子に宮ちゃんがノブサンを羽交い絞めにし、
(だから言ったじゃないか! なんかスンゴイ辛いだろーが!)←ヒタヒタ声で
(悪かったとは思ってる! でもしょうがない事だったんだよ!)←モソモソ声で
(この馬鹿ヤロー!)
(ええい、うるさい!)
 ノブサンは即座に体を入れ替えて、宮ちゃんを羽交い絞めし返した。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!?」
 さりげなく入ってますね。
 まぁそれはさて置き。
「ハルマ・わげ! 君も今からカバディだ!」
「了解!」
 ぱーぱらーぱーぱーぱー……と南澤@の合衆国歌の鼻歌をBGMに、ヤマゲリラの洗礼によってハルマはサード・カバディへと変貌したのである。
 その様子を遠巻きに眺める三人は少し慄いていた。戦闘不能がカバディなのか……。
「ちょっと憧れるかも……」(ボソリ)
『!?』
 宮ちゃんの呟きに思わず驚愕するノブサンとウィリアムス。あれの何処に憧憬が!?
 そんな夢見る宮ちゃんの肩に手を置いて、ハルマは、にこやかにこう告げた。
「ニコラスでオーライだろう?」
 殺られた事に関してですね。スコーピオンを渡して、それで君が戦うのだ、と言う意思表示である。
 ところでニコラスって誰?
 しかし宮ちゃんは慣れたような仕草で、
「なぁ。俺たちもう何年の付き合いになる?」
「そろそろ三年だな」
「ニックって呼べって言ってんだろ。それにオーライじゃねぇ」
 宮ちゃんはいつから「ニコラス」なんですか?
 そんな周囲の疑問をよそに、キョトンとしたハルマに向けて、宮ちゃんは唇の左端を上げた。
「『オーライ』じゃなくて『アァーイ』、だ。もっと黒人っぽく言え」
「ああ、そうだったな。アーイ、だ」
「そうじゃねぇ。よく見てろよ。……アァーイ、だ」
「アーイ……?」
「そうじゃねぇってんだろ」
「難しいよ」
「だからそうじゃねぇんだよ」
「やってるつもりなんだけどなぁ」
 二人の謎のやり取りはその後も続くことと相成ったのである。
 ふと、そんな折。
 カサリ。小さな音が耳朶に響き。
 ノブサンは身を翻して後方へ。
 ウィリアムスは狙撃位置で周囲を警戒し。
 宮ちゃん♪は音源に向けて引き金を引いた。
 完璧なコンビネーションでそれぞれの役割を自覚する。ノブサンが後方へ行ったのは、三人が分散することで相手に警戒感を抱かせるためだ。ウィリアムスは音源以外に敵が居る事を前提条件としてスコープを覗くのである。いつも通りの斥候で相手を牽制するのが役割の宮ちゃんを二人が援護するのだ。そうすることで仕事に集中させるのである。素晴らしいバックアップ体制ですね。
 ちなみに三人のカバディは非戦闘員なので、素晴らしいスピードで戦闘領域を離脱していきました。いろんな意味で素晴らしいコンビネーションです。
 ハルマが一度も撃っていないスコーピオンだが、ラピッド・ファイアを利用して、まさに高速射撃で弾幕を張った宮ちゃんには少ない弾数だった。即座に弾倉が空になる。
 一旦、宮ちゃんは右手側へ移動して、スピーディ・リロードをする。レバーを引いて弾丸を送り込み、ストックも出して腰ダメに撃ちまくった。
 その時、すぐそこまで移動していたヒモが見え、VSRの静かなマズルが、威圧的な主張をしながら自身を見つめていることに、戦慄を覚える。唐突なことに照準の修正をする暇なく、宮ちゃんは反射的に、自分の身体を転がした。


(写真:鞭打ちツイスト)
なんだかとても首が辛そうですね。

 パシュッ。VSR−10の吐息が聞こえる。
 ちっ、とワイヤーが毒づいた。
 即座に身を起こして引き金を引く宮ちゃん。
 敵の銃口を見つめて冷静にコッキングするワイヤー。
 ボルト・ハンドルを跳ね上げて手前に引く。チン、と小さく金属が囁きかけ、空気が圧搾されたことを知らせた。ハンドルを戻して弾丸を薬室へ。人差し指で元の位置へと戻して、流れるような手つきでグリップを握る。フォアハンドを小さく持ち上げてバイポッドの位置を修正。右目で覗いて標的を見る。
 一連の動作が余りにも鮮やかだった。だから宮ちゃんは恐れたのだ。肌が粟立ち指が止まる。ワイヤーの静かな威圧感が予感させたのは、間違いなく敗北だろう。
 トリガー・プルが引かれる前に、宮ちゃんはその場から逃げ出していた。考えたのではない、何も考えられない状態で、身体が肉体を動かしたのである。反射、と呼ぶには余りにも無様に、宮ちゃんは右手側へと転がり込んだのである。
 それが功を奏したのは言うまでもない。極限の集中力が切れたワイヤーが立ち上がろうとする。その瞬間に顔を出した宮ちゃんは、無防備な相手に銃口を向けていたのだ。
 二人の視線が交錯し。
 口を開いたのは宮ちゃんだった。
「チャンスをやる。フリーズ・ヒットだ」
 ポイントは決してブレていない。
「どうかな?」
 ワイヤーは不敵に笑った。
「もう弾がないだろう?」
 告げて、銃を持ち上げる。
 しかしそれでも、宮ちゃんは静かに笑うのみ。マガジン・キャッチを押し込んで弾倉を分離すると、ワイヤーへと見せ付ける様に逆さまに振る。
「マガジンにはな。だがチェンバーにはどうかな?」
 ワイヤーの表情が少しだけ固まった。だが銃口を下ろすような愚かな真似はしない。
「無いに決まってる。弾数は数えてた」
「それが正確だと言い切れるか?」
「ハッタリに決まってる」
「果たしてどうかな?」
 右手を突き出して銃を強調する。
「無いって言ってんだろ!」
 ワイヤーは挑発には乗らない。微動だにせずに相手の隙を窺っている。
 試してみるか、と宮ちゃんは言った。それにワイヤーが笑みを返す。互いの緊張が激しさを増した。
 宮ちゃんが引き金を引いたのはそんな時だ。
 パァン、と甲高い空気音と、バネの振動音。銃口が跳ね上がり、宮ちゃんの笑みがより深くなり、ワイヤーの目がスッと細まる。
 それだけだった。
「正解だ」
 宮ちゃんは両手を上げた。



 ノブサンが様子を見に行ってみると、そこには四人のカバディたちがぐったりと座り込んでいる、ちょこっと異様な光景であった。


(写真:世の中って、こうなのかねぇ?)
春盛りの冷え込みにウンザリしているカバディさん達。しかし掲載時期は真夏なので、全く寒さが感じられませんね。

「おまえ……」
 ノブサンが宮ちゃんに声をかけると、
「ん〜……?」
 とてもダルそうに目を向けるフォース・カバディ:宮ちゃん♪。
 殺られたのか、と呆れ返って、ノブサンは急いで敵機殲滅のために動き出した。



 ウィリアムスが狙撃位置でスコープを覗き込んでいると、ふと怪しい四人組みの集団が目に入った。ギョッ、として反射的に銃を向けると、その者たちは気付かずにこちらへと近づいてくるではないか。
「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」
「カバディ!」
 放つ奇声がおぞましい、そのとてつもなくアンタッチャブルな雰囲気を放つ四人は、よくよく見てみると両手を挙げているではないか。戦闘不能を指し示す、ゴースト状態のその者たちは、一糸乱れぬ統率された動きでひたすらに前進していく。
 ふぅ、と息を吐いて。ウィリアムスは銃口を下げた。
 視線を感じたのはその時だ。
 カバディたちが左側。反対側に、しょぼ助の姿が映ったのである。敵か、と即座に対応しようとして、なんだか両手を挙げているように見えて、戸惑う。奴も怪しいカバディなのだろうか。
 視線を左へ流す。カバディはウィリアムスの脇を通ろうとしていた。気付いたハルマが手を振ってくる。もう一度しょぼ助を見てみると、動かずそこで黙っていた。
 混乱は当然だろう。頭の中がこんがらがる。ニューロン・ネットワークに「解読不能」の電号が伝わり、脳細胞が処理能力を低下させた。なんだ?、と思うが、ウィリアムスは直ぐに思考を止める。聞いたほうが話が早い。
 だから、叫んだ。
「ちょっと待った!」
 カバディが止まる。四人の視線が集中するのが分かった。
 まぁ落ち着け、と言うようにウィリアムスは両掌を広げる。整理させて、と断った上で、しょぼ助の方へと指を向けた。
「――敵?」
 カバディ達への問いかけだったが――
 その疑問に答えたのは、しょぼ助本人であった。
「俺、敵だよ〜」
 反射的に振り向いたウィリアムス。そして気が付いた。しょぼ助が手を上げていたように見えたのは、こちらに向けて二丁拳銃を構えていたからだ。カバディの雰囲気で、いつの間にか戦闘の空気を失していたのだ、と自分自身に呆然とした。
 そして、無意識のうちに、腰のハイ・キャパシティ5.1へと腕を伸ばしていた。
 抜く手前で、しょぼ助の警告が飛んだのは、気付かなかった。
「止めろ! 銃を抜くんじゃない!」
 ウィリアムスはハイキャパを抜いていた。
 タ、タン!
 炸裂音と同時に来たのは、胸部への衝撃であった。しゃがみ込んだまま後ろ向きに倒れ、針葉樹の枝に囲まれた空を見たのは、意識外でのことだったのだ。
 ああ、負けたのだな、と思った時、しょぼ助の毒づきが耳を突いた。
「だから『止めろ』と言ったのに……」
 溜息交じりのコッキング音が、ウィリアムスの悔恨を誘った。


(写真:オガドン敗れる!)
しょぼ助のカッコ良さはホレイショ・ケインことデイビット・カルーソーもビックリですね。

4、ワイヤーが負けるとき ――そしてカバディは戦う――


(写真:直立?不動)
宮ちゃんだけがオカシイですね。

「…………」
 ノブサンはもう、なにも言う気にはなれなかった。
 ウィリアムがカバディに混じっているのを見て、ああ俺だけなのか、と諦観にも似た溜息を吐くだけである。
 もう良いや、とP90を構えなおし、思考を切り替え、エアコキ兄弟を狙うだけだ。



 ブラックワイヤーとは、ただ「タフな男を演出できる携帯を装備した」だけの意味ではない。
 「くろひも」からワイヤーになった事はつまり、前回のサバゲでも示した、狙撃手として力量を表す名称なのである。
 まるで張られたワイヤーのように――
 ブレずに、静かに、そして時に凶暴に。相手を誘導して。相手を縛りつけ。そして相手を仕留めるのである。
 相棒のVSR−10Gスペックの重みを感じつつ、ワイヤーは宮ちゃんと戦ったあの場所に居た。
 頂上から降りるための一本道。坂になった狭い通路には、針葉樹の薄いバリアーによって、敵の視界を曇らせてくれる。ウッドランド迷彩を施した愛銃に隙はない。そして何より、ここが先の戦闘場所である事こそ、戦闘の重要なファクターなのだ。
 普通、非力なスナイパーは、仕留めたら場所を移動する。獲物を狩ることで、獲物の仲間にその姿を曝してしまうのがその理由だ。狙撃手とは常に動き、ポイントを決めたら待ち続け、狩りを成功させたら再び動き出さねばならないポジションなのである。それが出来なかったためにウィリアムスは殺られてしまった。ここについては経験則が物を言うために、如何な武将・峻厳殿と言えども、唐突なコンバートでは実力を発揮できなかったのである。そして今、ワイヤーは「既に知られている」場所に居る。普通に考えれば、それは非常に無謀な事なのである。こと相手が思慮に優れたノブサンであるならば尚更のことであろう。
 しかしワイヤーは、その思慮深さを利用しようとしているのである。
 これは2001年公開の映画「スターリン・グラード」のエド・ハリス扮するケーニヒ少佐が行った動作を参考にしている。つまりスナイパーが場所を移動しないことで、相手を誘き出し、殺傷するのだ。ただこれを行うには、相応の経験と読み、なにより狙撃センスが要求されるため、今までは出来なかった事である。しかしワイヤーは自信を持っている。自分にならばそれが出来る。過信にも思えるほどの自負だが、それは強く心に刻まれた誓いでもあるのだ。
 相手はあのノブサンだ。間違いなく、この中でもトップクラスの戦士である。前回は味方であったためにその実力に感謝した。しかし今回は違う。敵として相まみえた時、その気迫がどう映るのか。ワイヤーの全身を駆け抜ける興奮は、緊張感から来る絶大な恐怖だ。
 くくっ、と忍び笑いを一つ。
「この興奮が堪らんね……」
 映画「ザ・ロック」に出演しているときのニコラス・ケイジの真似をしているとき、覗きこんだスコープのその先のブッシュに影が映った。サブマシンガンを持ち、周囲を警戒するその姿。間違いなく彼だ。
 獲物の登場に目を細めた。
 一瞬で決める。震える腕を制御して、腕の各関節から指先まで、隅々に自らの意思を滑り込ませた。完璧な統一感で自らを諫め、静かな呼吸でラジエータを起動させる。無機物の瞳と有機的な動作。静かにターゲットの姿を追い、障害物の途切れる開けた空間を、ただ凝視するのみ。
 僕は石だ――
 ワイヤーは止まった。
 石は動かない――
 視線の先が凝縮される。一転を見つめてブレが消え、澄んだ心が冷たく浸透した。ただその瞬間を渇望し、ノブサンの身体が見えた瞬間に、呼吸が止まる。
 石は呼吸もしない――
 絶対の集中が五感を満たしたその一瞬
 ワイヤーの指がトリガー・プルを静かに押し込み
 圧搾空気が弾丸を撃ちだす。
 しまった、と思った。
「くそっ!?」
 撃つ瞬間の視界の揺れ。バイポッドが地面を噛んでいない。ずり落ちるようにズレた銃身が射線を完全に狂わせる。白色弾がノブサンの脇を通り過ぎ、遥か彼方へと空気抵抗の尾を引いた。
 偶発的ミス・テイク!
 ワイヤーが再び銃を保持したその時に。
 ノブサンはフル・オートで引き金を引いていた。


(写真:ヒモけん敗れる!)
なんだか哀愁が漂う写真ですね。

5、決着と、カバディと、そして……

 頂上だ。
 まさしく頂上なのである。
 そこはヤマゲリ山の最頂部であった。



 シパパパパッ、とお社様に白色弾が弾けた。
 しょぼ助はその、とてつもなくバチ当たりな行動に恐怖し、身を竦ませた。
 ノブサンの攻撃は苛烈を極める。
 っていうかダメだ。
「だって俺はエアコキ2挺!」
 思わず叫びつつも、自前の東京マルイH&KP7M13を射撃してみる。
 パコンと土に着弾。
 ドパパパパパと訳の分からん返事が返る。
「うひゃぁあああ〜……!」
 首を竦めて嵐が過ぎ去るのを待つしょぼ助。賢明ですね。
「どうやってエアコキで対抗しろと言うのだろう……」
 点を仰ぎ見てぐったり。そこでふと、先程までの猛烈な吹雪は何処吹く風、の如く綺麗な晴れ間が覗いていることに気が付いた。
 すでに夕暮れ時のこの時間、確認できるその空はオレンジに輝いて見えた。
(でも……)
 それでも見える青がある。濃厚な群青ではない、雲の切れ間に酷く霞んだ儚い水色。「みずいろ」のままに小さな面積の澄んだ着色が、彼の心に安堵をくれた。
(ギスギスした青じゃない、綺麗で眩しいこの『みず』だから、俺はこの色が好きなんだ……)
 そっ、と微笑んで肩の力を抜いた。
 背後、障害物越しに感じる視線がある。ノブサンの静かな集中力だ。殺気、と呼ぶには鋭すぎる、絞り込んだような気迫。射抜かれ、貫かれ、背筋に走る強力な悪寒が、しょぼ助に絶えず訴えかけているのだ。しかし彼には、先程のような焦燥感が無くなっていた。冷静な、ともすれば吹っ切れたような、そんな軽さが全身を支配していたのだ。
 その事に大きな安心感を得て、しょぼ助はP7を強く握り締めた。グリップの盛り上がった場所、P7の特長とも言うべきスクウィズ・コッカーが深く押し込まれる。その感触に勇気を得た。
 左手のガバメントを地面に置いた。右手をそっと上げて、P7を顔の前に。そんなことをしていたら、とある洋画の一場面を思い浮かべてしまった。スティーブン・セガール主演の『奪還 −アルカトラズ−』と言う作品で、主人公の相棒・ニックが監房室にてウーマン・コマンドと撃ち合うシーン。ハンドガンvsサブマシンガン。装備は違うが、今まさに、その状況が再現されているような気分になった。
 銃把底部に左手を添えると、一つの深呼吸の後に、陰から少しだけ顔を覗かせる。
「へいへい嬢ちゃん、俺のことが嫌いかい!?」
 役になりきって、しょぼ助はそのままの台詞を口走ってみる。
 ノブサンはきっと困惑していることだろう。しかし当のしょぼ助は何だか気分がノって来た。
「な、何を言って……?」
 そんなノブサンの疑問の呟きを無視して。しょぼ助は、「惚れてんじゃねぇのかよ!?」と架空のブルーのアイシャドーが似合ったMP5を構える黒髪・黒のロングコートに身を包んだ女性に喋りかけているのだった。
「だったらぁ、……勝負だ!」
 しょぼ助は顔の前にあるP7の銃身に口付けした。
 劇中のニコラスと同じように。
 そして当然、劇中のニコラスと同じように、しょぼ助は障害物から身を離し、飛び出したのだ。


(写真:しょぼ助ニック)
ジャ・ルールも驚きです。

 このまま向こうのブッシュに突っ込もう。監房室下の倉庫の如くそこに身を飛び込ませ、追いかけてきたノブサンを相手に素手での白兵戦闘へと追い込むのだ。
 そんな事を考えていた。
 目の前を見るまでは。
 自身を曝したその先に、彼は完全なポイントを合わせていたのだ。
 ノブサンの凶悪な瞳が、ドット・サイト越しにこちらを見つめる。
 プロジェクト・ナインティーのサブレッサー越しの銃口から、電動ピストンによって圧搾された空気が白色弾を射出する。
 フル・オートでばら撒かれた弾丸が、しょぼ助の身に吸い込まれ。
 成す術なくサブマシンガンの直撃を喰らい。
 しょぼ助が見つめる先にはただただ、暗鬱とした雨雲が広がり。

 青空はどこかに、消えてしまって、いた。

(ヤケクソ気味に長い)本編終了
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