フリード君の小説講座出張版 〜シャイニングとシャドーの小説講座〜 4.「小説」を書く際に! |
||
「丁度、目線と視点っていう言葉が出たことだし、 これについても説明しておこうか」 |
||
「目線に視点、ですか?」 |
(゚ω゚ ) フリード |
|
「目線と視点? 何が違うんだ?」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「地の文の形をどうするかに関わってくるぞ」 |
||
「地の文?」 |
(・ω・` ) フリード |
|
「勝手にそう呼んでるだけだけどね、 いわゆる、小説におけるセリフ以外の文章のこと」 |
||
「文章と目線に関係があるのか?」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「大有りだぞ。 大体の小説の地の文の形っていうのは大きく分けて2つある」 |
||
「1つは、『一人称視点』 もう1つは、『三人称視点』」 |
||
「一人称に三人称……代名詞の呼び方、ですよね」 |
(゚ω゚ ) フリード |
|
「ま、大体そんな認識であってるな」 |
||
「え? どういうこと?」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「一人称視点っていうのは、 その物語を視点となるキャラクターの目線で書くタイプだ。 簡単に言えば FPS(ファーストパーソンシューティング)みたいなもんだ」 |
||
「三人称視点は逆に、 その物語を第三者として見る書き方だね。 こっちは逆に TPS(サードパーソンシューティング)スタイルかな」 |
||
「目線で書き方が変わるのか?」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「だいぶ変わるぞ。一人称の場合は、 地の文がその目線となるキャラクターと ほぼ同化すると言っていいな」 |
||
「同化、ですか?」 |
(゚ω゚ ) フリード |
|
「そう、例えば、 地の文で目線となっているキャラクターを指す言葉が 『僕』とか『私』とか『俺』とかになったり、 誰か相手を指す言葉が 『あいつ』とかになったりね」 |
||
「地の文章がそのキャラクターの独白みたいになったり、 そのキャラクターが喋っているような雰囲気になるとかな」 |
||
「小説なのに、セリフっぽい文章で書かれるのか?」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「むしろ、そのキャラクターによる説明だとか、 そのキャラクターが物語を思い返している、 そのキャラクターを通して物語を体験している、 っていうイメージが近いかな」 |
||
「じゃあ、セリフでもないのに 『俺は椅子に座った』とか『僕は走って追いかけた』 って書いたら 一人称視点ってことですか?」 |
(゚ω゚ ) フリード |
|
「正解だ。 三人称視点の時は 『○○は椅子に座った』とか『○○は走って追いかけた』 って書くわけだ」 |
||
「三人称視点は、 主人公以外の目線ってわけでもないのか?」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「んー、というよりは、カメラを通して映像を見ている感じ、かな。 神様視点、と呼ばれることもあるよ」 |
||
「三人称視点は、 操作するキャラクターが画面内に映ってるタイプのゲーム って考えると分かり易いかもな」 |
||
「大体分かった気がするけど、 それで書き方の他に違いがあるのか?」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「ここでさっきの目線とか視点って話に戻るんだ」 |
||
「一人称視点の方は、『見えないもの』が多い 三人称視点の方は、基本的に『すべてが見えて』いても構わない」 |
||
「見えるものと見えないもの? それと全部見えていてもいい……?」 |
(゚ω゚ ) フリード |
|
「一人称視点はFPS、 つまり目線がキャラクターと同化しているわけだから、 そのキャラクターの視界外、 例えば背後にあるものは見えないし、 そのキャラクターの知らないものは分からないんだ」 |
||
「まぁ、人間は後ろに目はついてないもんな」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「三人称視点はTPS、 つまり目線が引いたところにあるから、 キャラクターの背後にあるものも見えていていいし、 そのキャラクターの知らない知識を書いてもいい」 |
||
「後ろにあるものが分かってもいいんですか?」 |
(゚ω゚ ) フリード |
|
「三人称視点で書く時は、 キャラクターの背後に何があるかを描写してしまってもいいんだ」 |
||
「一人称なら、 『背後に何があるかはキャラクターが振り返ってから分かる』 三人称なら、 『背後に何があるかはキャラクターが振り返る前に分かってもいい』 感じだな」 |
||
「じゃあ、背後に友達がいるとして、 『気配を感じて振り返ったら友達がいた』 って書いたら一人称ってことか?」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「間違ってはいないな。 ここで注意しなければならないのは、 三人称視点だからといって、キャラクターの目線を視点と 混同しないことだ」 |
||
「混同しない?」 |
(・ω・` ) フリード |
|
「例えば、『気配を感じて振り返った』っていうところは同じでも 『友達がいた』っていところを、 読者は分かってもキャラクターは分かっていないってこと」 |
||
「何だかややこしいな」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「まぁ、当たり前のことなんだけどな、 『友達がいた』ってことは事前に文章に入っていてもいいが、 振り返るまでそのキャラクターは『友達がいる』ってことを 知らないんだよ」 |
||
「同じ状況なら、書き方が違ってもキャラクターのリアクションや セリフ、感情なんかは同じじゃなきゃいけないんだ」 |
||
「まぁ、例を出すとしたらこんな感じか 『Bの背後からAが近付いてくる。 Bは気配を感じて振り返り、Aを見て突然のことに驚いた』 『背後からの足音に誰かの気配を感じ、振り返るとAがいた。 突然のことに僕は驚いた』 上が三人称視点、下が一人称視点だ」 |
||
「状況もリアクションも同じだけど書かれる順番が違いますね」 |
(゚∀゚ ) フリード |
|
「Aがいる、ってことが先に明かされてるのか」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「この例で言うなら、読者は先にAの存在に気付くけど、 BがAの存在に気付くのは同じタイミングだし、 反応も同じじゃないとおかしいよね。 BにAは見えてないわけだから」 |
||
「さっき言ってた、オリジナルのものとかの話も関連するな」 |
||
「あ、『クラム=苺』の例ですね。 一人称で視点となるキャラクターが『苺』を知らない 異世界の人なら、『クラム』の説明に 『苺』は使えないってことですね」 |
(゚∀゚ ) フリード |
|
「そういうこと、逆に、一人称の視点となるキャラクターが 異世界に放り込まれた現代側の人間だったら、 『クラム』っていうのを『苺みたいな果物』だ って説明しても違和感はないんだ。 視点となるキャラクターがこの場合は逆に 『クラム』っていうその異世界におけ る一般常識を知らないわけだからね」 |
||
「あ、じゃあ三人称視点ならもしかして 『クラム=苺』って使えるのか?」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「良いところに気が付いたな。 『クラムとは、分かり易く言えば我々の世界で言うところの苺だ』 って説明を入れてしまうこともできるのが三人称視点、 いわゆる神様視点だ。 その場面に誰がいたとしても、三人称視点では 何が見えていてもいいし、何を説明してもいい」 |
||
「当然、伏せておいた方がいいこともあるけどね。 『Aが壁の向こうに潜んでいることに、 Bはまだ気付いていない』 なんて現在進行形、あるいは進行中の時系列で こういう書き方ができるのは三人称視点の特徴かな」 |
||
「ちなみにこれを一人称視点でやるとなると、 『Aが壁の向こうに潜んでいることに、 僕はまだ気付いていなかった』 と、過去形にして思い返す形にしなければ、 目線として知らないものを知っているという矛盾 が発生することになる」 |
||
「確かに、見えないものが見えているのは何か変な気がするな」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「とにかく、目線をどこに合わせるか、っていうのは 書き方を大きく左右する大事なことなんだ」 |
||
「一人称視点で書くなら、そのキャラクターの目を通して、 そのキャラクターが見えないもの、知らないものは 見えるまで、知るまで書けないんですね」 |
(゚ω゚ ) フリード |
|
「ついでに言えば、そのキャラクターの一般常識だったり、 感覚や認識なんかも説明や表現していくといいな。 当たり前のことは当たり前のように、 未知のものはそいつが未知のものと対峙しているように。 キャラクターの内面を描くのに向いている書き方と言えるな」 |
||
「代わりに、そのキャラクターの目線で描かなければならないから、 自分の容姿とか、客観的な説明をするのが難しいかもね。 そのキャラクターの主観が多分に入る形になるから、 文章的にもそのキャラクターの性格とかが 色濃く反映されることになるし」 |
||
「三人称視点なら、そこにいるキャラクターが 見えないもの、知らないものでも説明してしまっていい、と」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「雰囲気や空気感を意識するなら、 何でもかんでも読者基準にしてしまうのは問題だけどね。 それがその世界での一般常識だったり、一般認識や感覚だったり、 っていうことが伝わるように書いていけると良いね。 そこにいるキャラクターがその時点で知らないことや 見えないものを説明することができるから、 周囲やそのキャラクターも含めて情景とか、 客観的な説明に向いていると言えるね」 |
||
「あくまでも、そこにいるキャラクターの目線とは違うってことを 忘れないようにな。 引いた視点で見るから、 三人称視点を維持したままキャラクターの内面とかを描くのは 中々難しい部分もある」 |
||
「どっちの視点で書くか、これも一長一短なんですね」 |
(゚∀゚ ) フリード |
|
「『白銀』も毎回こういうところで苦労してるんだよね」 |
||
「そうだ! じゃあ、普段は三人称視点で書いて、 心情とか内面を書きたい時だけ一人称視点にすればいいじゃん!」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「ところがぎっちょん。 視点の移動は頻繁にやり過ぎると逆に 読み難くなるんだなこれが」 |
||
「……そうなの?」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「視点があっちいったりこっちいったりすると 落ち着きの無い印象を与えがちになるし、 視点が安定してない、ブレ過ぎ、 っていうマイナス評価になることも多いんだよね」 |
||
「まぁ、視点移動を全面的に否定するわけじゃあないんだけどな。 このキャラクターがこうしている時、 あのキャラクターはこうしていた、 とかってのは割と良く見かけるし、その視点移動した先の、 別キャラクター側場面ってのがいわゆる伏線だったり 物語の転換タイミングだったりするわけだし」 |
||
「なるほど、長所短所があるからといって 良いとこどりは中々できないんですね」 |
(゚ω゚ ) フリード |
|
「まぁ、違和感のない形でそれができれば 特に問題はない気もするけどね。 場面移動だけじゃなくて視点も 一人称と三人称を頻繁に切り替えていたら 読み手も混乱しかねないし、地の文の書き方が頻繁に変わるなら 読んでいて疲れるってこともあるかもしれない。 読み手のことを考えるなら、頻繁に、っていうのは考えものだね 書き手が混乱して混ざっちゃう、なんてこともあるかもしれないし」 |
||
「なるほど……混ぜるのはダメか」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「三人称視点で心情描写を深く書き過ぎると、一歩引いて見ている 三人称としての利点である客観性が薄れていくし、 一人称視点で周囲や情報を書き過ぎると、主観性が薄れて そのキャラクターの性格とか個性が崩れかねないからな」 |
||
「どっちで書くか、っていうのは中々重要なところなんですね」 |
(゚ω゚ ) フリード |
|
「慣れないうちは視点はあまり切り替えないようにして、 キャラクターの目線や視点の位置を意識しておくといいかもな」 |
||
「こういうところの思考錯誤も慣れてきてからが本番、か……」 |
(゚д゚ ) カール |
|
「地の文をどういう方向性で書いていくかで、 リアリティの付け方ってのにも違いが出てくるからね」 |
||
前へ 戻る 次へ
|
SEO | [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送 | ||