第九章 「白銀の騎士」
 
 
 日が昇るのと時を同じくして、音が聞こえた。
 遠くから、何かが爆発したか、炸裂したか、轟音のような、前線にいた時に聞き慣れた音が。
 方角は王都の西側だ。
 アルザードの予想は的中した。西方から、敵が王都に攻め込んできたのだ。
 恐らく本隊ではない。ベルナリア防衛線を突破した三ヵ国連合の大部隊が王都に辿り着く前の陽動や、時間稼ぎ、あるいは牽制か。いずれにせよ近衛の消耗を狙った奇襲というところだろう。
 少ししてから、戦場の音がまた聞こえてきた。近衛部隊が応戦を始めたのだろう。
 ついに始まってしまったのだ、王都での戦いが。
 自室として宛がわれていた部屋の寝台に横になっていたアルザードは、ゆっくりと身を起こした。
 昨夜の報せを聞いて、ゆっくり休めるはずもなかった。
 こうなってしまってはアルザードに出来ることはない。大人しく寝台に横になって体だけでも休めようとはしてみたが、熟睡など出来るはずもなかった。
 部屋を出ようと立ち上がったところで、自室のドアが開いた。
「やあ、おはようアルザード。体は休めているかい?」
「エクター……」
 そこに立っていたのはエクターだった。
 皺と油と煤だらけの白衣に、ぼさぼさのくすんだ金髪。クマの出来た目には疲労の色が濃く、しかしその薄紅の瞳と表情は不思議と穏やかだ。
「警備部隊は出撃準備中だが、彼らは実戦経験の皆無な新兵だ。この状況下では何もできないだろう」
 口にした内容は辛辣だったが、事実でもある。
 避難が出来なかった王都内での戦闘ともなれば、実戦経験のないギルバートらに出来ることなどないだろう。人や建物を庇いながら応戦するというのは熟練した騎手でも並大抵のことではない。辛うじて近衛部隊なら被害を抑えられる程度だろう。
「そして新型も完成には至らなかった」
 エクターが静かに告げる。
 新型の動力部が昨日届いたばかりで、完成になど漕ぎ着けられるはずがない。それは分かり切っていた。
「……俺が乗れる機体はあるか?」
 《アルフ・ベル》でも何でも良い。この状況でただじっとしているなど耐えられない。ギルバートの機体でも、他の騎手の機体でもいい。前線で戦っていた経験のあるアルザードなら彼らよりはいくらかマシな戦いができるはずだ。たとえ、直ぐに乗機を壊してしまうとしても。
「君ならそう言うだろうと思ったよ」
 エクターは目を細め、微笑んだ。
 アルザードが獅子隊にいた頃の《アルフ・セル》は魔力伝導率を極限まで絞った調整をしていたことは伝えてある。もしかしたら、エクターならこの基地にある《アルフ・ベル》の一機ぐらいはアルザードが動かせるよう調整してくれているかもしれない。
「戦うつもりがあるのなら、ついてきてくれ」
 よれよれの白衣を翻し歩き出すエクターを、アルザードは追う。
 格納庫へと向かう通路を真っ直ぐ進むのかと思いきや、彼はその少し手前にある更衣室で足を止めた。
「これに着替えてくれたまえ」
 更衣室の中には、簡素な鎧のようなものが用意されていた。
「これは……」
 いや、鎧と言っても全身甲冑のようなものではない。肩や肘、膝といった関節部や、胸部のみに薄い装甲が設えられたもので、軽装鎧や革鎧とも異なる独特の衣装だった。
「まさか……」
 思わずエクターを見る。
 彼はアルザードを見ようともせず手をひらひらさせて、先に格納庫に行っている、と言外に告げて更衣室を出て行った。
 アルザードはもう一度その衣装を見つめ、意を決して今身に着けている上等騎士の制服を脱いだ。指示された通りに、下着の上に衣装を纏う。
 先日目にしたヘルムを抱え、格納庫に入る。
「完成と言うには程遠いんだけれど」
 アルザードに背を向けて、エクターが言う。
「それでも、やってもらうしかなくなってしまった」
 振り返るエクターの向こうには、白銀の甲冑を身に纏ったかのような巨大な騎士が立っていた。
 現存する魔動機兵とは違い、すらりと伸びた手足と体型はほとんど人間と変わらない。頭頂高は八メートルぐらいだろうか。塗装も装飾も何も施されていない装甲は素材の色のままで、銀と白と灰色のシンプルな騎士甲冑を彷彿とさせる。
 これが、エクターが開発していた新型なのだ。
「まともなテストは出来ていない。この意味が分かるね?」
 真剣な表情のエクターに、アルザードは頷いた。
 予定通りの部品で組み上がればそれで完成というわけではない。
 ただの新型魔動機兵ならば、プリズマドライブも、フレームも、現行のものとそう大きな違いがあるわけではないのだからまだいい。
 だが、この新型は動力部も、フレームも、センサー類ですら既存の枠組みから大きく逸脱している。
 本来ならば予定通りに組み上がった後で何度も繰り返しテストをしなければならない。
 全身の魔術回路は正しく魔力を伝えられるのか、動力部は想定通りの出力を発揮するか、機体のフレームや関節は稼動に耐えられる強度や耐久性を持っている か、そして騎手の安全性は確保されているのか。幾度も段階的にテストと調整を重ね、設計者であるエクターが求める数値に刷り合わせ、彼が納得できるところ までやって、初めて完成と言えるのだ。
 当然、今のアルフレイン王国の現状でそこまでを行うだけの時間はない。
 しかし、武装として最低限必要なテストというものはある。規格外のものばかりで構成されている機体であるが故に、その能力は未知数だ。アルザードの魔力 を十全に活かせるのかというだけではなく、そもそも壊れずに動かせるのか、動かすことそのものが出来る調整や設計で組めているのかという問題だってある。
 最初は動いても、途中でいきなり停止してしまう可能性さえある。どんな予想外の問題が生じるか、全く分からないのだ。騎手であるアルザードへの影響も分からない。そういった問題点を洗い出すためのテストすらなされていない。
 端的に言って、今のこの機体で現状を覆すための性能を発揮して戦え、というのはまず実現可能なのかということよりもそもそも危険極まりない行為に他ならない。
「戦わないより可能性はあるんだろ?」
 新型の前に立ち、その姿を見上げて、アルザードは冗談めかして言った。
「それはもちろん」
 エクターは不敵に笑う。
 爆薬に身を包むようなものかもしれない。だが、状況はすでに喉元に刃の先端が突き刺さっているようなものだ。
 いくら近衛部隊がアルフレイン王国の最精鋭とはいえ、ベルナリアを防衛していた部隊ほどの戦力はない。個の力は高くとも、数が圧倒的に足りない。
 全力を出して戦えず、出せたとしても直ぐに自壊し、それでも性能は高が知れている《アルフ・ベル》一機を投入するよりは、この新型を使う方がまだ夢のある話だろう。
 胸元に開かれた操縦席への入り口まで伸びる足場を上る。
 操縦席は先日見た時よりもすっきりしていた。シンプルではあるが素材が良いのか、座席の座り心地も悪くない。シートの裏から伸びているコードやケーブルのいくつかをヘルムの首の後ろ辺りに接続し、それを被る。
 アームレストの先のヒルトには、トリガーのようなものがついていた。人差し指をかけ、引き金を引くかのような動作が出来るようになっている。
 ヒルトに手を触れた瞬間、スクリーンパネルに光が灯った。何も念じていないのに、ただ触れただけで魔力が通り、機体が起動したのだ。
「よし、正常に起動できたようだね。僕はここから通信でサポートに回るよ」
 エクターの声が耳元から聞こえた。ヘルムにも通信魔術の回路が通っているようだ。
「このヒルトのトリガーみたいなものは?」
「専用武装が正しく性能を発揮するとしたら、攻撃性能が高過ぎるからね、セーフティのようなものだよ。それを引いていないといくら魔力を通そうとしても使用できないように手を加えてある」
 魔力を通すことによる暴発を防ぐという目的があるとエクターは言うが、一体どんな武装になっているのだろうか。
「専用武装はそこのライフルとシールド、それから腰の左右にあるソードだ。ソード以外は忘れずに持って行ってくれ」
 エクターの説明を聞きながら、アルザードは小さく深呼吸する。
 腰の左右に一つずつ、円筒状の剣の柄だけを切り出したようなものがマウントされている。
 詳しく説明を聞いておきたい気持ちもあるが、今は一刻も早く出撃するべきだろう。
「エクター、この機体はなんて呼べばいい?」
 ヒルトを握る手に、少し力を込めた。
 背中の方から、新型の動力部が本格的に稼動を始める音が聞こえてくる。
「ああ、そう言えば忘れていた。君の好きに呼んでくれ、それを名前にしよう」
 風を切るような音が少しずつ高まり、うるさくなる寸前で音色が変わった。
「まったく……」
 苦笑する。
 思い返してみれば、開発用の資料もエクターからの説明も他の皆も、ただ新型としか呼んでいなかった。
 鈴の音のような、高く澄んだ金属音にも似た音が響き始める。
「……!」
 刹那、重圧のようなものを感じた。体重が三割ほど増したような、全身に周囲からかかる圧力がどこか変化したような感覚だった。
 だが、機体各部に魔力が行き渡ったのだと分かる。
 まるで、機体が自分の体になったかのような。
「――《イクスキャリヴル》、行きます」
 アルザードは告げ、歩き出した。
 新型が足を一歩、踏み出す。アルザードの魔力を受けて、思い通りの場所へ、思い通りの速度で、足を運ぶ。
「《超越(イクス)・騎兵(キャリヴル)》か、なるほど洒落ている。良いじゃないか」
 台座に乗せられていたライフルとシールドに手を伸ばし、掴む。
 ライフルは新型に合わせた大きさになっていて、突撃銃としてはやや大型な印象だ。銃身がやや長い。シールドは中盾のカイトシールドといった形状だが、従来の魔動機兵のサイズからするとむしろ大盾に近い。
 シールドは左腕に、ライフルは腰裏のハードポイントに接続し、マウントする。エクターの言葉を信じるなら、ライフルやソードは危険過ぎて王都の中では使えない。
 格納庫奥のシャッターが開くのを待って、外へと向かう。
「なんだ、これは……」
 口には出さなかったが、アルザードは驚いていた。
 前線で専用に調整された《アルフ・セル》に乗っていた時でさえ、魔力を極力抑えるように加減していた。
 当然、まだ全力で魔力を込めているわけではない。しかし、送り込む魔力を絞るような加減をしていないのだ。不思議なことに、加減する必要がないのだと分 かってしまう。自然体の感覚とでも言うのか、通常の魔動機兵が十分程度で耐えられなくようなアルザードの魔力を、《イクスキャリヴル》は当たり前のように 受け止めている。
 そして、機体の動きが自分の体のようにさえ感じられるほど、滑らかかつ思い通りに動く。
 開き切ったシャッターを潜りながら、アルザードはまるで自分の右手を見つめながらそうするように、《イクスキャリヴル》の手を握ったり開いたりしていた。
 風を感じた気がした。
 格納庫から外へ出た。戦場の音が聞こえてくる。
 音のする方へ頭を向ける。ヘルムに連動して《イクスキャリヴル》の頭部が動き、アルザードの意思と魔力を汲み取って視界が拡大する。
 王都の北東部が戦場になっている。
 敵の姿は建物に遮られて見えないが、気配のようなものがする。
 思い切って、地を蹴った。
「……嘘だろ」
 アルザードは思わずそう呟いていた。
 体は重く感じるというのに、機体は軽快な動きで走り出した。その初速は《アルフ・セル》を軽く凌駕している。全力疾走ではない。本当に、軽く走り出しただけだ。
 景色が、建物が、流れて行くのが速い。ぶつからないように制動をかけようとすれば減速し、思った位置でぴたりと止まる。
 不思議な感覚だった。自分の体ではないとはっきり認識できているのに、機体は自分の体以上に自在に動く。
 魔動機兵の動きが人間を凌駕するものであるのは同じなのに、《イクスキャリヴル》のそれは感触が違う。
「エクター、この機体はどの程度なら跳躍機動ができる?」
「さて、どうだろう。そもそもどの程度の高度まで跳べるのかも実験していないからね」
 戸惑いながらエクターに問うと、そんな答えが返って来た。
 体型はスマートだが、身長がある分《イクスキャリヴル》の重量は《アルフ・セル》よりも重い。跳躍し、着地した時のの衝撃に《イクスキャリヴル》は耐えられるのだろうか。
「でもまぁ、それぐらい出来ないようではこの状況を覆す機体とは言えないだろう。やってみたらいい」
 無責任な発現に一瞬、耳を疑った。
 だが、それに応じてしまう。試してみたいという衝動があった。そして同時に、何となく大丈夫な気がしていた。
 前へではなく、上へと向かって地を蹴る。
 街路がその衝撃にへこみ、周囲の家の窓が割れた。
 《イクスキャリヴル》は飛翔するかのように、空へと上がっていた。広いはずの王都が見渡せる。
 戦闘の火花が見えた方に意識を向けると、頭部が動いてヘルムのスクリーン画像が拡大望遠された。薄っすらと、操縦席内のスクリーンパネルから見える景色もヘルムスクリーンから透けて見える。見たい場所も、通常の映像も、どちらも見える。丁度良いバランスだ。
 戦場が見えた。
 近衛部隊が負けることはなさそうだが、市街地を盾にされて梃子摺っている。
 市街地を縫うように進み、増援に向かおうとしている《アルフ・ベル》も何機か見える。ギルバートの機体も混じっていた。
 跳躍の慣性のままに空を進む。頂点に辿り着いて、落下が始まるとその高さと速度に冷や汗が出る。
 幸いだったのは、一直線に伸びている街道の方向へとジャンプしていたことだろう。着地点に建物は無い。
「耐えてくれよ……!」
 迫ってくる地面を見据え、着地の瞬間に意識を集中する。
 足首、膝、股関節、脚部全体に魔力を込めるように意識をしながら、出来る限り衝撃を和らげるような動きをイメージする。
 普通に考えたら、この速度で着地をすれば操縦席のアルザードがただでは済まない。着地のことを考えて後悔したが、もう遅い。
 《イクスキャリヴル》が着地する。両足から接地し、その衝撃を和らげるように膝を曲げ、大きく体を屈ませながら右手を突いてぴたりと止まる。
 落下の衝撃が突風となって周囲の建物の窓ガラスを粉砕し、街路樹が大きく揺れて葉が散った。
「良いデータが取れているよ」
 エクターの笑みを含んだ声が聞こえた。
 アルザードは信じられないものを見るかのように、《イクスキャリヴル》が街路に突いた右手を見ていた。
 着地の衝撃がほとんど無かった。操縦席はほとんど揺れず、機体の関節部に対する負荷を知らせるアラートも鳴らない。それどころか、跳躍した時と違って街路が破損していない。
「君の込めた魔力が着地の衝撃を大きく殺したようだ。操縦席も衝撃吸収には気を使って設計をしたが、要らぬ心配だったかもしれないな」
 楽しげな声で解説するエクターに、アルザードはただただ驚くばかりだった。
 つまり、着地の瞬間にアルザードが脚へ流した魔力を受けて、ミスリル装甲が表面で衝撃を相殺したのだと言う。もはや魔法の域ではないのだろうか。
 相殺できたのは《イクスキャリヴル》と接触した場所への衝撃だけであって、落下に際して生じた風の動きまでは消せなかった。だから街路や建物には影響が出た、と。
「王都への被害の責任は僕が全て負う。君は敵の排除と防衛を優先するんだ」
「……分かった」
 エクターの声に頷いて、アルザードは再び《イクスキャリヴル》を走り出させた。
 ベルナリアが突破されたことは、もう王都全体に知らされているだろう。戦場となっている地区はまだしも、まだ戦火が広がっていない地域の住民は不用意に出歩いたりはしていないようだ。
 周囲への警戒は怠らぬようにしつつ、アルザードは《イクスキャリヴル》を進ませる。
 目的の場所へと、縫うように街路を駆け抜ける。
 西部地区では、襲撃者と近衛部隊が戦っていた。
 敵は全てが軽量機の《ノルス》だった。
 実力を考えれば近衛が負けることはないだろう。だが、建物を盾にするような戦い方に、近衛は苦戦を強いられていた。
 戦法として間違っているとは言えない。
 しかし、無性に腹が立った。
 左手の盾を構えて、突撃する。近衛と街路を挟んで銃撃をしている《ノルス》の横合いから、盾で突き飛ばすように体当たりを仕掛ける。
 一瞬で間合いが詰まり、《ノルス》は接近に気付く様子もなく、無防備に《イクスキャリヴル》のシールドバッシュを受けた。一番最初に盾と接触した右腕が 砕け散り、胴体が側面から大きく歪み、捩れながら吹き飛んで街路に転がる。その衝撃だけで頭部は千切れ飛び、急に無理な方向へ加重が働いたことで股関節も 破損した。手にしていた突撃銃も街路に転がり、おおよそ戦える状態ではなくなった。
 《ノルス》と向き合っていた近衛が戸惑っている様子が伝わってくる。《イクスキャリヴル》の識別信号はアルフレイン王国のものとなっているはずだが、いきなり現れれば困惑もするだろう。
 それよりも、まだ王都に侵入してきた敵は残っている。
 鳴り止まぬ銃撃の音に、周囲へと視線を走らせる。
「この方角は……」
 王都の西には、アルザードにとって大切な場所がある。ここで戦闘が始まったと聞いてから、落ち着かなかった。表面上は冷静を装っていても、気にならないはずがない。
 《イクスキャリヴル》を走らせる。銃撃は、アルザードが気になっていた場所と同じ方角からも聞こえてきていた。
 西区でも一際豪奢な屋敷の庭で、銃撃が爆ぜた。流れ弾だ。庭の木々のいくつかが吹き飛び、地面が無残にも抉れる。
 遅れて一機の《ノルス》が屋敷の前に飛び出すのが見えた。屋敷を背に《ノルス》は追いかけてきた《アルフ・カイン》に向き直る。
 そして、挑発するように盾を構えて見せる。
「……!」
 ヒルトを握る手に、自然と力が籠もった。
 《イクスキャリヴル》が駆ける。
 掴み掛かるようにして《ノルス》の頭を右手で押さえ、同時に足を払う。体勢と重心の崩れた《ノルス》をそのまま力任せに地面へと叩き付ける。銃を持つ手 を《イクスキャリヴル》の足で踏み砕き、背中に膝を乗せて力を込める。鈍く拉げる音がして、《ノルス》は動かなくなった。
 近衛の《アルフ・カイン》が何か行動を起こす暇さえなかった。
 その時ふと、名を呼ばれた気がして、視線を屋敷に向けた。
「マリア……」
 屋敷のテラスに、一人の女性が立っていた。こちらを真っ直ぐに見つめている。
 装飾は少ないが品の良いドレスを身に着けた女性だ。蜂蜜のような美しい金の髪、白く透き通るような肌、整った目鼻立ち。
 マリア・フィル・ネヴィア。
 アルザードの許婚だ。その側には侍従長でもある初老の男性の姿もある。
「――!」
 刹那、視線を感じた。いや、敵意、殺気と言った方が正しいか。
 反射的に盾を装備している左腕で頭と体を庇う。
 直後、盾の上で銃弾が跳ねた。反応が一瞬遅かったなら、胴体か頭に直撃していただろう。
 すぐさま攻撃の意思を感じた方向に視線を向ければ、王都の外、北西部に面した山の中腹辺りに魔動機兵の姿があった。《イクスキャリヴル》の頭部センサーがアルザードの意思と魔力を汲み取って、拡大表示してくれている。
 そこにいたのは、《ダンシングラビット》と渾名される魔動機兵だった。ベースは《ノルス》の改良機《ノルムキス》だろう。頭部に追加された兎の耳のようなセンサーアンテナと、更に軽量化を施しつつ、遠距離からの狙撃に特化させた機体だ。
 王都の西、かなり外周に近いところまで来ているとはいえ、北西外周に面している山の中腹、《ダンシングラビット》のいる場所からこの屋敷の前まではかなり距離がある。狙撃よりも放物線を描いて着弾させ範囲面制圧を行う砲撃の方が有用だと思えるような距離だ。
 恐らく、魔動機兵としては最大距離の狙撃だろう。特注品の狙撃銃と、《ダンシングラビット》に搭載されたセンサー類、操縦者の類稀なるセンスがあってこそ成立するものだ。
 本来なら、あの場所から《ノルス》と交戦中の《アルフ・カイン》らを狙撃して一機ずつ着実に仕留めていこうとしていたのだろう。
 それが《イクスキャリヴル》を見て、脅威だと判断したか。
 アルザードは足元に組み伏せた《ノルス》から千切れて転がっていた腕を拾い上げると、それを振り被り、《ダンシングラビット》目掛けて思い切り投げた。
 望遠で見ていた《ダンシングラビット》のいた場所へ、寸分違わず《ノルス》の腕が突き刺さる。《ダンシングラビット》は腕が投げられたのを見てとるとすぐさまその場から飛び退いていたが、突き刺さった腕を見るや否や山の木々の中へと姿を消した。
 気配、のようなものが王都から離れていくのを感じ取って、撤退を始めたのだと判断する。些かその判断を下すのが早過ぎるような気もするが、こちらとしては厄介な敵が減るのであればそれに越したことはない。
 視線を屋敷に戻せば、マリアはこちらを見つめたままだった。
 驚愕に染まっていた表情が穏やかなものに変わったかと思えば、その高貴そうな顔立ちからは意外なほどに人懐っこい勝気な笑顔を浮かべ、拳を握った右腕を突き出して見せる。
 まるで背中を押すかのように。
「ああ、分かってる」
 それに《イクスキャリヴル》で頷いて見せて、アルザードは屋敷に背を向けて走り出した。
 まだ敵はいる。安心していい状況ではない。
 街路の真ん中で、盾を構えて銃撃を受け止めている近衛がいた。向かい合う《ノルス》は挑発的に銃弾をばら撒き、それが家屋に当たらないように庇っている。
 その横合いから、別の《ノルス》が近付いていく。
 《イクスキャリヴル》は近衛の《アルフ・カイン》の背後を駆け抜けて、接近してきていた《ノルス》にシールドを振り下ろす。突然現れた《イクスキャリヴ ル》に反応する間もなく、《ノルス》は叩き伏せられた。頭部が押し潰されるように胸部へと減り込み、その場にくず折れる。
 機能停止したのを見て取るとすぐさま反転し、《アルフ・カイン》を跳び越えて銃撃している《ノルス》を蹴り飛ばす。
 襟元から頭部が弾け飛び、仰向けに転倒した《ノルス》の胴体を踏み潰す。
「……その機体、まさか、アル?」
「ラウ……?」
 背後にいた《アルフ・カイン》から憶えのある声がした。
「王都に戻ってきていたのか」
「ベルナリア陥落の少し前にな……運が良いのか悪いのか複雑だよ」
 ラウスの声には苦味が滲んでいるようだった。
 ベルナリア防衛線が突破される少し前に、補充人員が回されたことで王都に帰還したのだ。ラウスとしては、自分もその時戦えていたら、という気持ちと、自分一人いた程度で何かが変わるとは思えない、という現実的な考えの板挟みになっているのだろう。
「俺はラウが生きていてくれたことは、嬉しいよ」
「……ああ、そうだな」
 慰めになるかは分からないが、本心ではある。
「それより、その機体は……?」
「俺が呼び戻された理由、だよ」
 目の前で異常とも言える性能の片鱗は見えていただろう。
「それよりも今の状況は?」
「侵入してきた《ノルス》の数はそう多くない。部隊としては一つか二つ程度の規模だろう」
 アルザードの言葉に、ラウスは頭を切り替えて答えてくれた。
 敵の反応を追って街路を移動しながら、情報を共有する。既に襲撃してきた部隊は半壊しており、指揮官がいなくなったのか連携も取れていない様子だと言う。
 近衛だけでも殲滅するのは時間の問題だろう。厄介なのは、都市部を盾にしたりいたずらに被害を広げたりしようとするその戦い方で、迂闊に銃を使えない近衛側は攻めるのに手間取っていることだった。
「一応、うちの基地からも増援は出してはいるが、あまり期待はしないでくれ」
 エクターが通信に口を挟み、軽く説明をした。
 ギルバートらが実戦経験のない新兵であることを差し引いても、近衛について行ける技量は無いだろう。
「街を守る盾が増えるだけでも今はありがたいよ」
 ラウスはそう答えたが、果たしてギルバート達が到着するまで戦闘が続いているかどうか。
 アルザードは会話の最中も《イクスキャリヴル》を走らせ、目に付いた《ノルス》を撃破して行った。
 およそ武器と呼べるようなものを使わずに、《ノルス》を赤子の手を捻るように叩き潰して行く。思い通りに動くだけでなく、狙い通りに四肢が動く。速度も、角度も、自由自在に感じられるほどだった。
 今のところ、ただ一発の被弾さえない。唯一、《ダンシングラビット》の狙撃を盾で防いだだけだ。
 近衛と戦闘しているところを不意打ちに近い形で急襲していることと、ほぼ一撃で《ノルス》が戦闘不能になっていることが大きい。市街地での戦闘と、指揮官不在ということで敵が分散しているのもそれに拍車をかける。
 気付けば、侵入してきた《ノルス》の数はもう二つ程度になっていた。
「アルザード、本隊が到着したようだ。東に集結して陣形を整え始めている」
 通信から聞こえるエクターの声に、さほど変化はない。
「ここはもう我らでも十分だ。行ってくれ」
 近くにいた《アルフ・カイン》からの通信だった。
 表示された識別には、近衛の指揮官機であることを示す名が記されていた。
「この国を守ってくれ、白銀の騎士よ」
「……はい、必ず」
 短く答え、踵を返した。
 西から東へと一直線に抜ける大通りへと出て、《イクスキャリヴル》を走らせる。
「そういえば、君の許婚は西区に住んでいたんだったね」
「少し安心した」
 エクターの言葉に、アルザードは本音で答えた。
 妹から避難できなかったという手紙を受け取った時点で、予想はしていた。マリアも自分だけ先に避難するような性格はしていない。
 妹の方は無事だろうか。
「何かあったら君の精神状態にも影響は出るだろうし、無事が確認できたのは良いことだ。狙撃を防いだのも見事だったよ」
「それについてなんだが、どうにも、気配のようなものを感じ取れるようになっている気がしてならない」
 移動しながら、アルザードはエクターにこれまで感じていた不思議な感覚について言及した。
 走ったり、跳んだりした時も薄々感じていたが、敵と接触した際の感触も今まで魔動機兵を操縦していて抱いたことのないものだ。
 まるで、自分の肉体感覚が《イクスキャリヴル》と一体化しているかのように思えるのだ。操縦席にいる自分の肉体はしっかりとそこにあり、ちゃんと動かす こともできれば感覚もある。だが、《イクスキャリヴル》を操り、《イクスキャリヴル》が触れたりしたものを、操縦席にいるアルザードは我が事のように感じ られているような気がするのだ。
 《ノルス》を組み伏せた時にも、ヒルトを握る手のひらに頭部を掴んでいる錯覚のようなものがあった。ヒルトを掴んでいるという感触があるのに加えて、だ。
「ふむ……考えられるのは、周囲の魔力を感じ取っている、というところだろうか」
 エクターは一瞬考えるように黙り込んだ後、そんな推論を口にした。
 可能な限りのミスリル素材で組まれた《イクスキャリヴル》は、魔力に対して強い反応性を持っている。エクターはこれまでにないほどの高出力高性能を求め てミスリル素材を積極的に採用したが、これが結果として周囲の魔力をも敏感に感じ取ることに繋がっているのではないか、と。
 魔動機兵の識別や反応は、特殊な魔術信号を発することで行われている。だが、それとは別に、機体の駆動や行動するために流れる魔力も当然存在する。銃火 器などは内部機構で魔術による威力や命中精度といったものへの強化も施されているし、狙撃などをしようとすれば僅かながら狙いを定める場所へセンサーや照 準等から魔力が向かうことになる。
 それを感じ取っているのではないか、というのがエクターの結論だ。
「そちらはどうだ? 何かおかしな点などはあるか?」
「今のところは予想以上に良い数値が出ている。炉心内エーテルの魔素濃度も少し低下は始まっているが許容範囲内だ。こちらについては高濃度エーテルの予備もある」
 アルザードの問いに、エクターはどこか嬉しそうに答える。
 炉心に充填されているエーテルの魔素濃度が低下した際には、予備の高濃度エーテルと交換できるように設計されている。実験機でも使われていた方法だ。
「懸念することがあるとすれば、本隊を全滅させるのにかかる時間だろうね。エネルギー消費量の問題と言うべきか」
 戦闘時間の増大によるアルザードの魔力供給の限界、動力部内の魔素消耗による出力限界、炉心の高純度結晶が負荷に耐え切れず損傷、これらが今最も懸念することだとエクターは言う。
 逆に言えば、それ以外は問題ではない、と。
 王都の東端が見えてきた。
「降伏せよ!」
 見知らぬ声が響いた。
 東の方角から、魔術により拡大された音声が聞こえてくる。
「おっと、降伏勧告が始まったようだ」
 エクターの声音は相変わらずだ。動揺が見られない。
 だが、それはアルザードも同じだった。
 東端に辿り着き、速度をやや落として王都から外へと歩み出る。
 平野部を埋め尽くすように、魔動機兵が立ち並ぶ。北からノルキモ、セギマ、アンジアと部隊を展開し、攻撃命令を待っている。
「繰り返す、降伏せよ!」
 前面にいる者たちは《イクスキャリヴル》に気付いただろう。僅かに動揺らしいものが広がり、銃を構える者もいる。
 距離はまだそこそこある。突撃銃の射程としてはギリギリ、というところだろうか。
 《フレイムゴート》と《ブレードウルフ》の姿もあった。
「ライフルを使う」
 腰裏に携えていたライフルに手を伸ばし、腰だめに構える。
 《イクスキャリヴル》の手のひらにあるジョイントがグリップ部と接続され、魔力回路が繋がる。鈴の音のような動力音が大きさを増し、アルザードの全身を締め付けるような重圧が襲う。魔力が引き出される反動だろうか。
 それを通じて、エネルギーがチャンバー内で収束していくのが分かった。
 ヒルトに備え付けられたトリガーを引いた。
 瞬間、極彩色の光が溢れた。
 銃口から放たれた光はその進路上にあるものを全て飲み込み、消し去った。溢れ続ける極彩色の奔流を、銃口を動かすことで薙ぎ払うように振るう。
 反動が重い。
 《イクスキャリヴル》を持ってしても、銃口が少しずつしか動かせない。エネルギーの圧に踏ん張る両足が、地面に減り込むように僅かに後ろにずれていく。
 ノルキモの部隊のほとんどを消し去り、セギマを半分ぐらい巻き込んだところで、光はおさまった。
 バチン、と音がしてバイザースクリーンに強制交換というメッセージが表示された。
 《イクスキャリヴル》背面、左右の肩の付け根辺りから液体が吐き出され、マントのように広がった。ドライブ内に充填されていた魔素濃度の低下したエーテ ルだ。予備の高濃度エーテルを交換充填する際に、排出されたエーテルはまだ真上まで昇り切っていない日の光を反射して煌めく。
 まるで虹をその背に纏うかのように。
「ライ、フル……? これが……か?」
 見れば、ライフルの銃身も溶けたようにぐちゃぐちゃになっていた。さすがに二度目の射撃が出来るとは思えない。
「はははははは! 魔力供給量が多過ぎて照射兵器になってしうとは! さすがにこれは予想していなかった!」
 通信機からはエクターの笑い声が聞こえてくる。
「説明!」
「ああ、ごめんごめん。そのライフルは簡単に言えば、魔素に魔力で命令を与えて撃ち出すというものなんだ。触れた物体を自壊させる、という魔術を対象へ撃ち込むと言い換えてもいい。マナストリームライフルと言ったところか」
 エクターの返答に、アルザードは絶句した。
 破壊兵器などと言う生易しいものではない。その理屈ならば、このライフルによる射撃攻撃は防ぎようがない。そんなものをあれだけの出力で放射できるとは。
 王都の中で使っていたらと思うと、ぞっとする。
 いつの間にか降伏勧告は止んでおり、敵陣は大きく崩れていた。
 その中から、飛び出してくるいくつかの部隊があった。見覚えのある機体が、こちらへと真っ直ぐに進み出てくる。
 《フレイムゴート》と《ブレードウルフ》の部隊だ。辛うじて、ライフルの直撃をかわしていたようだ。いち早く、《イクスキャリヴル》を脅威だと認識し、攻撃を仕掛けようというのだろう。
 使い物にならなくなったライフルは後方へ投げ捨てる。
 残る武装は腰にある剣の柄だが。
「ああそうそう、腰にあるソードも理屈としては同じ武装だ。こちらは剣状に魔素の奔流を留めるように設計しているから、ライフルのようなことにはならないと思う。多分」
 《フレイムゴート》と《ブレードウルフ》にやや遅れる形で、残っていた部隊が一斉に動き出した。
 視線、敵意、殺意、攻撃を意図する魔力の流れが、《イクスキャリヴル》に集中するのを感じる。
「この機体なら何とか出来る……そんな気がしてくる」
 左の腰にあるソードの柄を、右手で掴む。鞘から抜き放つように、右へと払い、ヒルトのトリガーを引いて起動する。
 剣の柄の先端から、極彩色の光が溢れ出した。丁度、《イクスキャリヴル》の体躯に対してロングソードを思わせる長さまで光は伸びて、留まる。
 アサルトソードを両手に構え、《ブレードウルフ》が斬りかかる。その背後から《フレイムゴート》が肩のキャノンを構え、援護砲撃をしようと狙っている。
 《イクスキャリヴル》が地を蹴った。足元の地面が捲れ上がり、土煙が舞う。
 《ブレードウルフ》を跳び越えて、《フレイムゴート》の前へ着地と同時に光の剣を振るう。左右にいた《バルジス》が盾を構えて庇おうとしたが、無意味だった。
 極彩色の奔流は一切の抵抗感もなく盾に食い込み、その軌道上にあるもの全てを削り取る。その後ろにいた《フレイムゴート》も例外ではなく、火炎放射器を 抱えた両腕が地に落ち、上下に分断された体が崩れて倒れた。《フレイムゴート》が率いていた部下たちであろう左右にいた《バルジス》も、カバーするためか 距離が近過ぎたことで巻き込まれて両断された。
 背後からの気配に、振り向きながら剣を払う。《ブレードウルフ》はその動きを読んでいたのだろうが、遅かった。屈んでかわそうとしたものの、間に合わ ず、首が刎ねられる。それでも片刃のアサルトソードを振るおうとするが、それよりも《イクスキャリヴル》が返す刃の方が速い。
 右上から左下へと振るった光の刃が、《ブレードウルフ》を二つに裂いた。
「こんな……」
 呆気ないものなのか。
 愕然とする。
 ランドグライダーを装備した《アルフ・セル》であれほどまでに大敗を喫した《ブレードウルフ》が、ものの数秒さえ持たなかった。
 背筋が寒くなるようだった。だが、それと同時に湧き上がるものもある。
 銃撃、砲撃が降り注ぐ。何発か装甲に被弾したようだったが、高純度ミスリル製の装甲は貫けなかった。それどころか、ほとんど傷らしい傷が付いていない。
 魔力を存分に通された装甲は淡く光を帯びているように周囲の景色からは浮いて見える。
 砲撃を虫でも払うかのように左腕の盾で防ぎ、敵陣へと突撃する。
 一歩踏み込む度に、景色が飛んだかのように変化する。移動距離が常識を外れている。
 ほんの一息で敵陣に飛び込み、右手を一閃させる。
 それだけで、周りにいた魔動機兵が一斉に崩れ落ちた。抵抗らしいことも出来ず、《イクスキャリヴル》の動きに反応することさえままならない。目では追えても機体がついてはこないのだ。
 距離を取り、銃火気を構える魔動機兵の群れへと、飛び込んでいく。
 万能感とでも言うのだろうか。
 不思議な昂揚感があった。
 今なら、どんなことでも出来てしまうような気さえする。
 ただ手を払うだけで光の剣がそこにある全てを削り去り、引き裂く。盾を叩き付けるだけで、魔動機兵が砕ける。蹴り飛ばした《バルジス》が大きく吹き飛んで《ヘイグ》を何機か巻き込んでぐしゃぐしゃになりながら転がっていく。
 踏み込んで、《ヘイグ》を片手で掴んで投げ飛ばす。四肢をバラバラに撒き散らしながら、魔動機兵だったものはぶつかる機体を巻き込んで残骸へと変わっていった。
 蜘蛛の子を散らすように、魔動機兵で塗り潰されていた大地を塗り替えていく。
 まるで《イクスキャリヴル》そのものになっているかのように、思い描いた通りに機体が動いた。自分の体を動かしているかのように、思った瞬間に《イクスキャリヴル》が動いている。
 体中から意識が溢れ出して、《イクスキャリヴル》に乗り移っているかのようだった。
 敵意を向けてくる全てに、眩く光る剣を向ける。
 エーテル廃液が背に描く虹を翻し、縦横無尽に駆け、ひたすらに敵へと光を振るう。
 その様は、魔物の軍勢に立ち向かう伝承の中の救世主のようでもあった。
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