終章 「戦い終えて」


 戦いの後、ユウはガルダース公国の首脳部へ足を運んだ。そこで一連の事情を話し、解決へ向けて動き出すように依頼した。
 仲間達四人は公国から莫大な報酬を受け取り、解散となった。
 ソールは受け取った資金を手に姿を消した。その傍らにはディガンの姿もあった。ソールは難民救済のための組織を作るために動いている。そのための資金源として、ユウの仲間になっているのだ。
 リネアは今住んでいる街へ戻り、今までの生活に戻った。一人暮らしではあるが、ユウと共にこなした仕事で得られる資金で生計を立てている。最近は普通の生活にも慣れてきたらしく、付近の子供達に好かれているようだ。
 ゼアは修行の旅に戻った。
「必ずお前を超えてやる」
 それだけ言い残して。
 仲間の神器を保管施設に戻し、ユウはウルザルブルンの街へと戻っていた。
「やっぱり、故郷が一番かな」
 シルヴィアの家で、ユウは呟いた。
 公国が用意したユウのための豪邸もあるが、生まれ故郷が一番落ち着く。
「今度はいつまでここで過ごすの?」
「一月ぐらいはいるつもりだよ」
「経ったそれだけ?」
 ユウの返事に、シルヴィアが笑う。
「今度は自然環境にも注意しないといけなくなったからなぁ」
 ユウは苦笑する。
「忙しいわね、勇者様は」
「変な言い方するなよ」
 頬を掻くユウに、シルヴィアが笑う。
「でも、ちょっと面倒かな」
「私は構わないわよ。あなたがここにいても」
 少しくらい休んでもいいか、ユウは笑った。
 ただ、技術を発展させるだけではいけない。最初はそれだけで良くても、いずれ現れるだろう問題に対応していかなければならない。戦う事は少なくなった。
 後は、人間達がこの世界をどう引っ張っていくか、だ。
「それでも、また行くんでしょう?」
「まぁね」
 二人は笑い合う。
 希望ある世界の守り手は人間達自身だ。それを少しだけ支えるのが、ユウの役目だ。人が精一杯動いて、それでも駄目な時だけ、ユウは手を貸す。
 人のためではなく、この世界と愛する女性のために。

 ――終。
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