コラム
――ロックマンゼロの真実――

 通販で頼んでいた『ロックマンゼロ・オフィシャルコンプリートワークス』が先日届いた。
 今回はそれを読んで解った事をつらつらと書いていきたいと思う。

 ロックマンゼロについては以前のコラムで触れたように、ロックマンXシリーズの続編として位置する物語である。
 オフィシャルコンプリートワークス(以下OCW)のスタッフインタビューによれば、元々はパラレルワールド的な位置づけとして企画されたようだ。というのも、そもそもロックマンXシリーズの企画者の中には「ゼロ」を主人公にしたかった人がいたらしい。ロックマンの名を継ぐ作品としてそれはどうか、という事でXシリーズは今のように「青いエックスが主人公」の作品となっている。
 個人的にはシリーズが進むにつれてどんどんゼロが主役に近くなっている気がするが(笑)
 ともあれ、ロックマンゼロの企画は「じゃあ今度はゼロを主役に」といった案で現在に至るらしい。
 また、ゼロが記憶喪失になっていたり封印されていたり「コピー(ボディだけ)」だったりというのも製作陣の意図が込められていた。
 ゼロがゼロではなかった、という意図で。
 本質はゼロなのだが、「記憶もない」状態で右も左もわからずシエルに「助けて!」と頼まれてレジスタンスに協力していくという構図から、「周囲の期待に答え続けて来ただけの、ただのレプリロイド」という内容が含まれていたようだ。
 実際、オリジナルゼロのボディに比べればコピーボディのゼロはその辺のレプリロイドに色を付けたぐらいの力しかない(コピーボディが造られた年代でのものだからネオ・アルカディア時代のレプリロイドと比べたら戦力は高いのだろう)

 で、ここから本題。
 ロックマンゼロとロックマンXの間に何があったのか。イレギュラー戦争の終結や妖精戦争の始まり、マザーエルフの開発やダークエルフへの改造、オメガの誕生。
 この辺りの事がOCWでは触れられていた。
 まず衝撃的だったのは、Xシリーズから登場していた「Σ(シグマ)ウィルス」がエックスの持つ「苦悩回路」だった事だ。
 これは、苦悩回路を持つ事によって、レプリロイドが「人とレプリロイド」の関係に際して悩み続ける事になる。人とレプリロイド、どちらにも偏らぬように、どちらの側に着くべきかを悩み続ける。
 苦悩する事で頭脳に異常をきたしてしまうとは、人間そのものである。
 ライト博士はこの回路が安全なものかどうかを確かめるためにエックスを解析カプセルに入れて封印していたという事になる。
 結果的に、レプリロイドの存在はケイン博士によって明るみに出され、エックスを模して造られた最初のレプリロイド、シグマが最初にイレギュラー化してしまう。
 但し、Σウィルスに最初に感染したのはどうやらゼロらしい。
 だが、ゼロはワイリーによって造られた「完全悪のレプリロイド」だった。故に、ゼロはΣウィルスの影響を受けず、一度シグマに倒された後、イレギュラーハンターとして復活する。
 しかし、Σウィルスはゼロの内部に存在し続け、イレギュラーハンターとして各地で戦っている間にウィルスをばらまいてしまう事になってしまう。
 皮肉な事に、イレギュラーをなくすために戦い続ける事でイレギュラーを絶え間なく生み出す事になっていたのだ。
 ワイリーはこうなる事を予想していたのだろうか。
 最終的に、ゼロはΣウィルスの保菌者として研究施設に収容される事になる。
 そこでゼロのボディはΣウィルスとゼロボディの解析・研究のために拘束・封印される。
 その研究施設にはイレギュラー戦争を終結させるために苦心する科学者がいた。その一人がドクター・バイルだったらしい。バイルはイレギュラー戦争を終わらせるには、くだらない事で争いを続けるレプリロイドや人間を壊滅させて、残った人間達で新たな秩序を作るべきだと考えていたようだ。
 また、マザーエルフを作った科学者も施設にはいたようだ。研究施設がレプリロイドとDNA研究のためだったようで、その女性はシエルの古い先祖にあたる人物らしい。
 彼女はΣウィルスの技術を利用してマザーエルフを創り、イレギュラーとなったレプリロイドを制御しようと考えていたようだ。だが、そのマザーエルフもΣウィルスの影響を受けてダークエルフへと変貌してしまい、妖精戦争のきっかけになってしまう。
 バイルはイレギュラー化する事のないゼロのボディに眼を着けた。オメガという純粋な破壊兵器へと手を加え、妖精戦争で人間とレプリロイドに壊滅的な打撃を与えてしまう。
 ゲーム中の情報では、レプリロイドは90%、人間は60%が死滅したとなっている(数値逆か?)
 そして、心を別のコピーボディに移されていたゼロと、エックスがオメガを破壊し、戦争を終結へ導く。
 バイルは死なない身体に改造されるという死刑よりも重い刑を科せられ、オメガと共に宇宙へ追放される事になる。
 OCWではここまでの資料が載っていた。

 結局、ゼロはオリジナルボディの危険性から、心そのものも危険と判断されて封印されてしまったのだろう。
 純粋な破壊兵器になったオメガの事を考えれば、オリジナルボディのゼロの意識こそがワイリーの「ロボット破壊プログラム」だったのかもしれない。意識とは別にボディにプログラムされたものが、ゼロの心を失った事とバイルによる改造で始動してしまったのかもしれない。
 OCWによれば、
『イレギュラー戦争勃発→ゼロ封印→マザーエルフがダークエルフに変化→バイルによる妖精戦争の勃発→コピーボディで目覚めたゼロがエックスと共に妖精戦争を終結させる→ゼロが眠りにつく→エックスがネオ・アルカディアを作る→エックスがネオ・アルカディアを去る→シエルがコピーエックスを作る→エネルギー不足となり、レプリロイドの弾圧が始まる→シエルがレジスタンスを組織→シエルによるゼロの復活』
 という流れがあったようだ。

 ロックマンゼロ4には全く登場しなかった四天王は、ロックマンゼロ3のラストで死んでしまっていたようだ。
 オメガの爆発からゼロを庇って死亡、とOCWには書かれていた。
 正直、ショックである。
 そんなあっさり、とも思ったが、このようなシビアな展開もまたロックマンゼロの持ち味である。四天王の支えを失った事も、ネージュ達のようなネオ・アルカディアからの脱走者を増やしていたのかもしれない。
 確かに四天王はエックスのDNAデータから生み出されたレプリロイドなのだから、戦闘能力は高い。ハルピュイアなら、バイルの圧制に立ち向かう事だろう。ファーブニルやレヴィアタンもそれに同調するはず。オメガがいなくなったバイルなら、彼らが押さえ込めたのかもしれない。
 ゼロも衛星軌道で行方不明となっており、ロックマンゼロ4の後にどうなっていくのかは定かではない。ロックマンゼクスへと繋がるように動いていくのだろうが、ゼロが帰還したかどうかはロックマンゼクスの今後に期待、といったところだろうか。

 それにしても、ゼロは格好いいなぁ。こういう背景を知るとつくづくゼロが格好良く見える。

 実にノベライズしたい作品である(笑)
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