レポートその三 「狐(鼠?)狩り」


 久々のサバゲという事で皆楽しくなって来ました。一回戦、二回戦と来て、困ったのは三回戦。
「次なにやろっか?」
 言い出したのはノブサン。
「やっぱりここは狩りでしょ」
 にやりと、ヤマゲリラが宮ちゃんを横目で見る。
「でも、前失敗しなかったっけ、それ」
 狩られる対象確定という事には突っ込まない宮ちゃん。
「じゃあ、もうちょっとルールを細かくすればいいわけだろ」
「んで、どうすんの?」
「まず、狐はHP3で逃走。ハンターは二人いるから……先に狐を狩った方の勝ちって事にして、ハンターにヒットしたら三十秒間動けないってのはどう?」
「なるほど、ハンター同士でも攻撃出来るという訳ね。前みたいに二体一と同じにならないように、と」
 ヤマゲリラと宮ちゃんがルールについて話し合っているのをノブサンは黙って聞いていました。口出し出来なかったというのが実際のところなわけですが。
「まぁ、動くHP3のフラッグを取り合うというルールで」
「オッケー」
 ルールがまとまり、三人はとりあえず弾の補充のために山頂の拠点(?)へ。
 弾の補充を終えた後、装備とフィールド範囲を確認。
「じゃあ、一分後に追いかけるぞ」
「うぃす」

 宮ちゃんが山頂から駆け下りて行くのを見て、ヤマゲリラは腕時計のストップウォッチ機能を使って正確に時間を測る。
 一分後、ストップウォッチを止め、ヤマゲリラが銃を構えた。
「行くぞ」
 それに頷き、ノブサンはヤマゲリラと共に歩き始める。

「じゃあ、俺向こうから回り込んで見るから、ヤマゲリさんはそのままのコースで」
「ん、了解」
 ブッシュを迂回するようにノブサンが単独で横道に逸れ、ヤマゲリラはそのままゆっくりと前進。
(いないな……?)
 周囲を見回しながら迂回コースを取ったノブサンはそのままヤマゲリラと合流。
 しかし宮ちゃんの姿はなし。全くの無駄でした。
「いなかった」
「じゃあ、下の方かな?」
 ヤマゲリラが答え、山頂から下る道を見る。
「多分ね」
 答え、ノブサンはMPLを構えて道を下り始めた。それにヤマゲリラが続く。
「やっぱ、ハンター同士撃ち合うって、ないよね?」
 不意に、ノブサンは背後から続くヤマゲリラに声を掛けた。
「そういやそうだね」
「これって要するに二体一だよね?」
「うーん、そうなるね」
 苦笑しつつ、ヤマゲリラが答える。
「じゃあ、ちょっと先行くね」
「解った」
 返答を聞き、ノブサンは歩調を速めて道を進む。
 小屋が見える場所まで辿り着いたノブサンはその小屋の後ろに宮ちゃんが潜んでいるのを発見。
「あ、いた」
 言い、MPLを構えてノブサンが射撃。が、外れる。再度コッキングして構え、射撃。が、またも外れ。
 宮ちゃんがUZIを構えたのを見て、さっと物陰に隠れる。その直後に発砲音が聞こえた。
「いた?」
「小屋のとこ」
 追い付いて来たヤマゲリラに答え、MPLを構えて前進。
「ちょっと待ってー!」
 と、宮ちゃんが叫んだ。
「え? 何?」
 ノブサンが応じると
「UZIジャムったー」
「あー、治るー?」
「大丈夫そうー」
 返答を聞き、ヤマゲリラと視線を合わせてノブサンは肩を竦めた。
「治ったー!」
「おーし、行くぞー!」
 数十秒後の宮ちゃんの返答に、ヤマゲリラが答え、そのまま直進して行った。
 ノブサンは小屋を回り込むように移動。降り積もった雪に足を取られ、速度が落ちつつも小屋を回り込んで行く。
 と、そんな事をしている間に宮ちゃんは小屋の裏から移動し、急斜面の下へと降りて行ってしまった。しかも、ヤマゲリラがスコーピオンを発砲。宮ちゃんが応戦している音が聞こえ、ノブサンは慌てて小屋の手前の塹壕まで引き返した。
「待ってー!」
「何、どうしたの?」
 宮ちゃんが叫んで斜面を登って来るのを、ヤマゲリラの隣まで追いついたノブサンが答えた。
「またジャムった……」
「グロック使えよ、もう」
 溜め息をつきながらノブサンは答え、ジャンパーの内ポケット内に入れていたグロック(実は宮ちゃんの)を返した。
「ヤマゲリさんソーコム貸して」
「いっそ二挺使うか」
 ヤマゲリラがソーコムを宮ちゃんに渡し、言った。
「そだね、二つ使いな」
「じゃあそうする。UZIはここに置いてくよ」
 ノブサンの言葉に、宮ちゃんは塹壕に置いておいたバッグにUZIをしまい、ソーコムとグロックを受け取った。
「また登るのも面倒だからここから始めようか」
「そだね、一分経ったら追いかけるって事で」
 ヤマゲリラに頷き、ノブサンが宮ちゃんを見た。宮ちゃんはそれに頷いて山頂へと戻って行った。
「大変だなぁ」
 他人事のように呟くノブサンの横でヤマゲリラがストップウォッチで正確に一分測っていた。

――そんなわけで、本編。

 逃げた宮ちゃんを追ってヤマゲリラとノブサンが山頂へ続く細道を登っていた。
「どこ行ったんだろ?」
 呟き、ノブサンが周囲を見回した時、近くでBB弾が着弾する音がした。
「!」
 すぐさま駆け出し、ノブサンは木の陰に隠れ、周囲を注意深く見回した。ヤマゲリラは既にその場から離れ、別の場所から周囲を警戒していた。
「いた……!」
 山頂とは逆方向の急斜面で、木の陰に隠れて狙っている宮ちゃんを発見したノブサンはMPLを構え、発砲。が、ブッシュに阻まれて宮ちゃんには当たらず。逆に宮ちゃんに位置を教える結果となってしまった。
 反撃の銃弾が周囲の木に弾かれるのを見て、ノブサンは屈んで身を隠した。
「いたか!?」
 ヤマゲリラが隣に駆け寄って来る。

「いた、あそこ!」
 答え、ノブサンは屈んでいた体を起こしてMPLを発砲。
「どこ!?」
「この下の方!」
 ノブサンはMPLを発砲した。
 ヤマゲリラはその銃撃の方向を見て、回り込むように走り出した。ノブサンはそれとは逆方向に移動し、挟み撃ちのような状態にすべく、宮ちゃんに攻撃を続けた。途中でヤマゲリラの方向へ向かう宮ちゃんを確認し、ノブサンが引き返した直後、ヤマゲリラがラピッドファイアする連射音が響いた。
「ヒットー!」
 両手を挙げて宮ちゃんが斜面を登り、ノブサンとヤマゲリラの前に出て来た。
「あれ、HP3だろ?」
「いや、そのまま続けるより、また逃げた方が良いでしょ?」
「それもそうか。じゃあ、三十秒で」
「うぃ」
 ヤマゲリラと宮ちゃんが確認し合う。
「あ、スコーピオンの弾切れてる」
 宮ちゃんが駆け出した直後、ヤマゲリラが言った。
「補充してきなよ、時間空けなきゃならないし」
「そだね」
 荷物の中からサバゲに使う弾等を入れたバッグを一つだけ山頂に持って来ていたのだ。その拠点に戻るヤマゲリラを見ながら、ノブサンは三十秒数えていた。
 三十秒後、ノブサンは宮ちゃんが逃げたであろう方向へと歩き出した。ヤマゲリラは後から合流するだろうから、先行して宮ちゃんに攻撃するつもりだった。
(発見!)
 ブッシュの奥に宮ちゃんがいるのを見つけ、ノブサンはMPLの引き金を引いた。
 宮ちゃんの傍のブッシュに弾かれ、外れたのを確認して、MPLをコッキング。構えようとした時には宮ちゃんがソーコムを向けていた。身を屈めてノブサンは宮ちゃんの攻撃を避けた。
 丁度、宮ちゃんとノブサンの中間の距離に濃いブッシュがあるため、屈んでしまえば相手が見えなくなる。相手が見えないという事は、向こうの攻撃が当たらないという事なのだ。
 弾が飛んでこない事を確認し、再度宮ちゃんを視界に入れてMPLで射撃。コッキングしながら宮ちゃんの攻撃を屈んで避け、ノブサンが更に攻撃する。
 と、ノブサンが屈んだ直後、ヤマゲリラが合流して来た。宮ちゃんのいる位置が見える場所にいるらしく、ノブサンの傍には来ないでブッシュを回り込むように移動し、スコーピオンを連射するヤマゲリラ。

「あたっ、ヒットー!」
 命中したようで、宮ちゃんがブッシュが手を上げて出て来た。
「むぅ、ノブサンを囮に使ったのか……」
「いや、ただ単に俺の位置から見えたから撃っただけなんだけど……」
 宮ちゃんの言葉に、ヤマゲリラはあっさりと答えた。
 どうやらヤマゲリラが合流して来た途中の道から宮ちゃんが見えたようです。
「じゃあ、また三十秒な。逃げろー」
 ノブサンが言い、宮ちゃんが急斜面を駆け下りて行く。
 三十秒後、ヤマゲリラとノブサンは宮ちゃんの向かった小屋の方へと向かって歩き始めた。
 雪が多いため、ところどころぬかるんでいる場所を避けるようにしてノブサンは斜面を下って行った。今回はヤマゲリラが前衛だ。
「上の方は?」
 細道からヤマゲリラが右手側に見える斜面を見上げて言った。
「多分いないと思うよ。それよか下じゃないかな?」
 ノブサンは答え、左側の斜面を見下ろして言った。
「さっきも下だったしな」
「ほんと鼠みたいな奴……」
 ヤマゲリラの返答にノブサンは呟いた。
「いたー!」
 塹壕まで辿り着いたヤマゲリラは叫び、スコーピオンを射撃。小屋の傍まで近寄り、そこから斜面の下へとスコーピオンをまた一発。
 追いついたノブサンは塹壕から斜面の下を見下ろした。
(いた!)
 宮ちゃんはどうやらヤマゲリラに気を取られているらしく、木の陰ソーコムとグロックで応戦していた。
 そこを狙って撃ったノブサンだったが、木の幹に当たってしまい、逆に存在を教える事になってしまった。
 ヤマゲリラの攻撃を身を隠して避けつつ、宮ちゃんがノブサンにグロックを向けた。塹壕の陰に隠れて攻撃を避け、直ぐにMPLで反撃。避けた宮ちゃんが更に近付いて来るのを、MPLで狙うが、枯れ木の枝に弾かれたりして中々当たらない。
 と、弾が出なくなった。
(あ、まずい)
 MPLの弾を一列使い切ったために、弾が出なかったのだ。
 二列目のスイッチを押してMPLを構えた瞬間、宮ちゃんがかなりの近距離でグロックを向けていた。
「うおっ!」
 驚きつつも引き金を引いたノブサンは、その弾が宮ちゃんに当たるのを見た。

「ヒットー! ってうわ!」
 言った直後、撃たれた事で足を滑らせた宮ちゃんが転倒。

 数回転して宮ちゃんは止まった。
「これで終わり、かな?」
「だね、おーい、宮、早く戻れ」
「うぃーす」
 ノブサンの隣に歩いて来たヤマゲリラが呼ぶと、転げ落ちた事など全く感じさせない様子で宮ちゃんが起き上がった。
「えーと、とりあえずヤマゲリさん二発当てたからヤマゲリさんの勝ちですかね」
「そうなるね」
 宮ちゃんの言葉に頷くヤマゲリラ。
 だが、当のノブサンは負けたというのに悔しくなかった。というよりも何となく物足りなさを感じていた。やっぱりエアコキだからだろうかとも思うが、多分違う。
(もうちょっとルール改良した方が良いよな、これ)
 その遣り取りを聞きつつ、ノブサンは思った。(←でも口に出さない。)

――編集後記っぽいもの?

 今回初めてサバゲのレポート書いたノブサンです。
 そんな訳で自分を中心に展開して見ました。あっさりしてる感が強いですが気にしないで下さい。面白く書こうとしてもこれが精一杯です。
 因みに写真がこれだけサイズ小さいですが、ヤマゲリさんのデジカメがバッテリー切れ(予備も)しちゃったため、急遽宮ちゃんの携帯のカメラを用いて撮りました。多分宮ちゃんのカメラが一番画質が良いだろうという事で。その点はご了承下さい。
 とりあえず久々のサバゲで一番浮かれてたかもしれません。P90は使えなかったけど、人数が少なかったからエアコキでも十分楽しめた。というよりも、三人で電動使ったらあっという間に終わっちゃうし。
 今回は自分含め三人しか集められなかったようなので、また春休みに新参者を加えてサバゲをやるとの事。
 その時はどんな企画になるんだろう。
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